今年の桜は特別だ。何せマスクをしなくても大っぴらに花見が出来るからだ。

今まで桜見など何も考えないで咲いている所に行き眺め、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎをしていた。それが春の始まりの合図で日本国民の一年の始まりの合図だったのだ。その為この季節になると日本国中の桜の開花情報がTVで流される。桜が咲くまでは毎日蕾が映し出され、まだかまだかと首を長くして待つのである。しかしそれが咲き始めた途端、もう話題は5月の連休辺りの気候の話になっている。そう、咲くまでは日本国民が全てやきもきしているのだが、咲いたらもうあとは知らない、勝手にしてということになるのである。

 玄関の入口に桜の木がある。高さ5m位ありたくさんの花を咲かせる。この桜は長男夫婦の子どもが小学校に入る時に植えた桜で、植えた時は果たしてちゃんと花を咲かせることが出来るのか心配だった。3年目位にようやく何輪か花を咲かせた。それを見た時は大感激した。その孫も今高校2年生。植えた時から10年という月日が経ち、桜と同じようにスクスクと大きく成長している。

 大淀川の北の堤防にはたくさんの桜の木が植えてあり、今の季節満開を迎える。一昔前までは家族でその下でお花見弁当を開いて鑑賞していたのだが、最近目にするのは老夫婦がベンチに座り、お弁当を広げ桜の花を見上げながら昔話をしている風景である。今まで一緒に花見していた子ども達も成人して県外に行ったりして、結局残されたのは老夫婦ということになるのだろうか。

 30年以上も前は、毎年花見の季節になると当クリニックの従業員達とバーベキューセットを担いで、天神山で花見を楽しんだ。当時はどんな所でもバーベキューが許されていて、何組ものグループが花見を楽しんでいた。その為もの凄い煙がたなびいて、帰る頃には着ているものが煙臭くなって大変だった。

 先日長女が「朝早く西都原古墳に行かない?桜が満開よ」と言う。何の予定もないので一緒に出かけることにした。6時半に出発。30分位で着いた。今の季節桜と菜の花のコラボが素晴らしいのだ。昼頃行くと車を停める所がない位混んでいてのんびり花見をすることも出来ない。そこで人のいない時間帯を狙って行ったのだ。予想通り人は殆どいない。菜の花と桜の下で写真を撮りまくった。おかげで素晴らしい写真が撮れた。今年も桜を楽しんだ。やはり桜は日本人の心。桜を愛でて一年の始まりとしたい。