昨年の4月に生まれた孫はもう1歳になった。10ヶ月位から少し歩けるようになった。最初は2,3歩歩いたらすぐ尻もちをついていたが、1歳になったころにはトコトコと転びもせずに部屋中を走り回る。たった1ヶ月でもの凄い進歩である。それに引き換え72歳の私は、立ち上がる時も気合を入れないと立ち上がれない。掴まる支えがないと立ち上がれないのだ。歩くのも最初の2、3歩はフラフラですぐには歩けない。街で歩いている自分の姿を通りのウインドウで見ると、本当にジジー歩きである。

 10年位前まで、街で歩く時は周りの誰よりも早足で歩いた。息子も「お父さんもう少しゆっくり歩いてよ」と文句を言う程だった。今は必死に歩いても若い女性を追い抜くことも出来ず、悔しい思いをしている。しかも100mも歩くと疲れてしまい、どこかに座る所はないかキョロキョロしながら歩いている。

 ベンチがあれば座るのだが、どこにでもベンチが置いてあるわけではない。だからガードレール、車両進入禁止のポールなどを見つけると、そこに暫く腰を下ろして休むのだ。そういうことが続くというのは、今言われているフレイル現象なのであろう。何とも情けない。

 孫の住んでいる所はホタルが飛び交うような田舎なので、ニワトリ小屋を作った。先日有精卵の卵を孵化した所見事2羽が孵った。本当に掌に入る位の大きさでピヨピヨと騒がしい。娘がその様子をスマホで送ってくるが実に可愛らしい。

 ところがそれから2週間後。ヒヨコは成長し鳩位の大きさになり小さなニワトリに変身していたのだ。先週はもうニワトリのような姿になり、小さい時の可愛らしさは消えてしまっている。1羽はトサカが生えてきたので、卵を産みそうにない。毎日卵を産んだら卵かけご飯を楽しみにしていた娘はちょっとがっかりしていた。

 それにしても2羽のニワトリの歩き方、いや走り方は速い。孫もあっという間に小走りで走り回るようになったが、それ以上に速いのである。

 歩くことや走ることは動物にとって必要不可欠なことである。もし歩くことや走ることが出来なくなれば、敵に襲われてしまう。スクランブル交差点ですれ違う人波を見ながら、渡り切れるだろうかと思いながら歩いている自分は、やはり取り残されそうになっている人間、いや動物なのかもしれない。そうは思いたくないが…。