年を取るという言葉がある。一方、年を重ねるという言葉もある。内容は同じだが響きが違う。年を取るというのは漠然と毎日ダラダラ過ごしているというイメージに対し、年を重ねるというのは人間性が毎日少しずつ厚くなっていくというイメージがある。だから同じ意味でも私は年を重ねるという言葉の方が好きである。

 最近思うのは、老いるに従い人間段々意地が悪くなっていく気がする。例えば振り返ってみると他の人のように幸せな生活を送れなかった。やりたいことがたくさんあったが何も出来なかった。世の中が悪いのは政治家が悪いからだ。今生きている意味が見つけられない。あんなに世話をしてあげたのに、子どもが親の面倒を見てくれない。回りの人はみんな健康なのに、私だけが何故?病気になったのか?だから神様なんかこの世にいない!…などなど。

 

 そんな人の為に面白い試みをやっていた。それは“今日あった小さな3つの良い事を書き出す”という方法である。題して『スリー・グッド・シングス』。決してとても良かったことということではなく、ほんの少しだけでも良かったことを書き留めるのである。

 それは3つに分かれていて、①出来たこと②楽しかったこと③感謝することに分かれている。例えば①机の上が散らかっていたので片づけた。②孫が来て一緒に食事をした。③お腹の調子が悪く妻がお粥を作ってくれた。などを紙に書き留める。それを書くことだけで、自分がいかに幸せな一日を過ごしていたかという事を振り返ることが出来るという方法である。

 そう言われれば、老いるとマイナスなことばかりを考えるということが多い。だから逆に3つの悪い事を述べよといえばいくらでもあるということになる。例えば①出来なかったこと②面白くなかったこと③腹を立てたことを書いたとする。①信号が点滅になったので渡ろうとしたが、途中で赤になって引き返した。②友人が宝くじで100万円あたったのに、自分は200円しか当たらなかった。③妻が「今日は友達とランチを食べに出かけるから、インスタントラーメンそこに置いておくから自分で作って食べてね」。

 確かにこういうのを毎回書いていたら気が滅入ってしまう。人は困った時や辛い時はよく「前を向いて進んでいこう」と言うが、このスリー・グッド・シングスを毎日書いていれば、きっとどんな人でも前を向く気持ちになるだろう。私もこれを始めてみたら少し性格が明るくなった気がする。是非ともお試しあれ。