開業して37年近く、朝食以外毎日給食を食べてきた。それは院長が給食を検食しないといけないという決まりがあるからである。最初はシンプルな給食であった。まぁ普通の給食である。しかしそれでは満足出来ない私は色々なレストラン、食堂に出かけ味見し、今度はこんなのを作って欲しいという希望を出した。それはどんどんエスカレートし、そのうちにレストランに負けないような料理が出てくるようになった。

 食べた後は検食ノートというものがあり、それに感想を書く。“辛い”“盛り付けが美味しく見えない”“メニューがダブっている”“バランスが悪い”などの感想を遠慮なくどんどん書く。それを見て厨房のスタッフが、今まで以上に美味しいものを作ってくれるのである。それは37年近くも続き、それを当たり前のように食べてきた。

 ところが11月から入院を止めたので給食がなくなった。だから自分で何を食べるか考えなくてはならないのだ。こういうことを予想してそれまでにスーパーで色々レトルト食品を買い揃えていた。いよいよそれを使う時がきたのだ。

 最初の日は『赤ワイン仕立てビーフシチュー』。温めるだけのレトルト食品。電子レンジでチンしてご飯にかけて食べるのだがこれが思ったより美味い。これだったら毎日でもいけそうである。しかしこれを毎日食べていたら飽きてしまうだろう。そこで次の日は『ほか弁』を取ることにした。沢山のメニューがあり、中々決められない。5分位考えた末『野菜が摂れるスパイスカレー』を注文した。食べてみるとスパイスが利いていて思ったより美味い。今までインスタントものやデリバリーは美味しくないだろうという先入観があったが、それを払拭する出来栄えである。

 夜は家内が色々な具材が入ったスープを作ってくれた。これが又美味い。今まで家内の料理はあまり食べた記憶がないがとても美味いのである。

そうは言っても、1日3食作ってもらうのは大変だ。そこでスーパーで総菜を買い求めそれを食べている。色々なスーパー巡りをするのも買物好きな私にとっては楽しみでもある。しかしどんな美味しい総菜でも給食の味には負ける。

 今まで給食を作ってくれたスタッフに感謝すると同時に、食べるということはやはり人間にとって大事なんだとつくづく思う毎日である。