私がエッセイを書き始めたきっかけは1990年1月から始めたコアラ通信である。当時忙しかったので、中々患者さんとコンタクトが取れない。そこで毎週妊婦、母親向けの新聞を発行しようと考えたのだ。記事だけでは面白くないのでそこにエッセイを添えて出すことにした。発行日は毎週月曜日。毎週書いていくうちに本にしたらどうかと思った。

 そこで鉱脈社という宮崎の出版社に依頼することにした。最初に発刊したのは『うぶごえ』という本である。表紙は私が描いた。まぁまぁ売れた。それからそれに味を占め15冊の本を発刊した。一作品につき1000冊位印刷した。特に『こもれび』などは4000冊も印刷した。

 最初の頃は結構売れ、宮崎の書店ベストセラーの中で10位以内が続いた。特に『夫婦川柳』は売れに売れNo1を獲得した。そこで調子に乗って作り続けたのである。ところがそのうちに本を読むという習慣がなくなって、本屋数も減り訪れる人も激減した。それではと写真入りのブログをまとめたものを本にした。ところが今やブログはスマホで見られるような時代。SNSの普及が本を読まない人を又増やしていたのだ。だから全く売れなかった。

 出版した15冊の本は出版社の倉庫に眠っていた。すっかりすべて売れたと思っていたら、出版会社から「倉庫に置いてある先生の本を引き取って貰えないでしょうか?」と相談があった。借りている倉庫の借代が負担になるというのだ。それなら仕方ないと快く引き受けた「しかし沢山ありますよ」と耳打ちする。そうは言っても迷惑をかける訳にはいかないので引き取った。

 すると軽トラックが2台来た。そこに積んであるのが全部私の出した本だというのだ。あまりの量に圧倒された。とりあえず部屋の一角におくことにした。その数ざっと見積もっても2、3千冊はありそうだ。完全にその本たちは部屋を占領している。

 そこで無料で配ることにした。しかし中々引き取って下さる方はいない。そこで患者さんにプレゼントすることにした。それでも全部なくなるのはいつになるか分からない。読みたい方は何冊でも持って行って下さい。クリニックの入口に置いてあります。遠方の方は無料でお送りします。宜しくお願いします。