先日、『20世紀の記録』という番組を放映していました。100年以上前の映像です。街を人々が歩いている様子や食事を楽しんでいる様子が写し出されていました。それを見ながら思いました。この映像で映っている人達は、皆この世にもう居ない。中には生まれたばかりの赤ちゃんも映っています。この赤ちゃんもこの後少しずつ年齢を重ね、死を迎えているはずです。

 さて古代インドでは人生を4つの時期に分けていました。それは「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」です。まず「学生期」若い頃は大いに学ばなければなりません。色々なものをどんどん吸収する時期です。「林住期」とは結婚して家族を持ち、どっしりと生活する時期です。「林住期」というのは人間として成熟して、今からどうやって残りの人生を生きていくか模索する時。「遊行期」というのは仕事をリタイヤして、これからどうやって楽しく毎日を送り、死を迎えるかを考える時です。

 今オギャーと産声を上げた赤ちゃん達の平均寿命は107歳といいます。今は赤ちゃんでも、いずれこの4つの時期を経て一生を終わることになります。

 さりげなく赤ちゃんを取り上げているのが産婦人科医・助産師の職業です。おそらくそんなことを考え取り上げる人などいないでしょう。そう、我々はその赤ちゃんの一生を左右しかねない職業についているのです。だから油断したり、手を抜いたりしてはいけないのです。24時間、365日ベストを尽くします。これが我々の使命ですから…。今日もどこかで新しい産声が聴こえますように。