コロナが大騒ぎになる前、近くにスナック風居酒屋が出来たので立ち寄ることにした。日本酒をメインに置いてある店である。中に入ると一升瓶が所狭しと、棚に並べてある。見たことのない銘柄ばかりで、日本酒好きな私は胸が騒ぐ。

 日本酒を置いてあるバーは最近人気で至所にある。この店のように棚や冷蔵庫に所狭しと置いてあり、それを冷で飲むのである。ところがこの店はちょっと違う。燗をして飲ませるのだ。もちろん冷でも飲めるのであるが、基本燗なのである。勧められるまま燗にしてもらい飲んでみた。普段家では冷で飲むので、燗にされたお酒は久しぶりだ。

 お銚子に入れたお酒は、燗付に付けられる。ほとんどの居酒屋は電子レンジでチンであるがここはわざわざ湯煎してくれるのだ。ほんのりと温められたお酒は上品でこくがある。中々粋な飲み方である。

 するとそこでママに突然「お客様は何歳なんですか?」と尋ねられた。「70過ぎている」と答えると「そういう風には見えないわね!」と言う。お世辞と分かっていてもそう言われると嬉しいものだ。若く見られる為に私なり色々工夫はしている。その一つが着るものである。

 夏はTシャツで過ごす。それもキャラクター入りのものである。その日はピカチュウのイラスト入り、黒のTシャツとジーンズである。いかにもアーティスティックなだけなのだ

 それと会話にも気を使う。なるべく今の話題だけをして、昔のことは話さない。そうすることによって若者とも気軽に会話が出来る。

 その他に何があるかなと考えた。すると、私の職業だ。私の仕事は赤ちゃんを取り上げることだ。一方赤ちゃんの仕事は泣くことである。つまり私の回りは1日中赤ちゃんの泣く声がする環境にいるのだ。つまり赤ちゃんから若さのパワーをもらっているのだ。それがきっと一番若く見られる理由の一つなのだろう。

 ちなみに産婦人科医の多くは年齢より若く見える人が多い。

 赤ちゃん、毎日泣いて私に若さをプレゼントしてくれてありがとう。だからいつまでも産婦人科医の仕事を続けていたい。