庭にある椿達は、去年の暮から数えきれない位の花を咲かせてくれた。空を覆うような赤い花は冬空に映え、それを玄関のエントランスに並べたり、素焼きの鉢に水を張り浮かせたりして楽しんだ。全て父が生前植えた椿で、私にとっては思い出の花である。

 2月に入ると裏玄関にある木蓮が白い可憐な花をつける。あっと言う間に花が咲き、あっと言う間に散る。その期間は1週間位である。この木も兄が大学に入学した時に父が植えた木。

 3月になるとクリニックの花壇に植えてある花達が一斉に花を開く。三色スミレ、パンジー、金木犀、ラベンダーなどである。これはスタッフの一人が丹精込め、毎日水をやり育てているものである。この花達は見る人に春が宮崎に来たことを知らせてくれる。

 ここ1週間位、裏口を入ると凄く花の香りがする。これはジャスミンの香りだ。2、3年間までは気が付かなかったのだが、種が風に吹かれてどこからか飛んできたのだろう。その繁殖力は凄く、今まさに満開である。

 従業員入口の所を通ると、バナナの香りがする。これはバナナではなく、“オガタマノキ”という木の花である。神社によく植えられている木で、本当にバナナの香りがするのである。近くを通る人が、何故バナナの香りがするのかしらとキョロキョロする姿がおかしい。

 3月末になると、玄関入口にある桜の蕾が膨らんでくる。そして4月に入ると満開になる。この木は孫が小学校に入る時、記念樹として植えたものである。その孫も今年中学3年になる。植えた時は鉛筆みたいに細く頼りない木が、今や見上げる位の大きさに成長している。

 その横にハイビスカスの木がある。初夏位から花を咲かせる。夏になると沢山の花を咲かせ、南国情緒をかもし出してくれる。

 このように私のクリニックには色々な花が次々に咲いて私を楽しませてくれる。この花を見ながら時の移り変わりを感じるのである。そして花だけでなく、毎日私も成長しているという実感を与えてくれるのだ。