孫が夜10時にもなるのに、まだ寝ないで何か手首に描いている。ちらっと見ると、それは腕時計を描いているように見える。「もう10時だから早く寝なさい。明日起きられないよ!」と言っても描き続けていたので「知らないよ、明日起きられなくても知らないからね」と言うと「おじいちゃんなんて大嫌い」と言う。「嫌いでもいいよ。おじいちゃんは先に寝るからね」と部屋を出た。

 次の日起きると孫は朝食を摂っていた。昨日の機嫌も一晩経つとすっかり直っていた。気になっていたので左手首のちらっと見るとまだそれが残っている。どうやらマジックで描いたようだ。「何を描いたの?」と問うと「ママ」という。よく見るとママの顔が描いてある。こんなこと初めてだ。

 実はママは仕事で東京に出帳中。もう5日も会っていないのだ。食事をしている間、ママの話など全くしなかったのに心の中では会いたくて仕方ないのだろう。必死でその淋しさを一人で堪えていたのだ。まだ4歳なのに、いや4歳だからこそ初めてママがいない数日間が不安で胸がはち切れそうになっていたに違いない。その不安などを人に知らせることではないと、せめて自分の心の中にしまっておこうと思い手首にママの絵を描いたのだろう。

 ごめんね木の羽ちゃん。おじいちゃんそんな木の羽ちゃんのそんな気持ち知らなくて怒鳴ったりして…。と心から詫びた。

 昼前にママが帰ってくると数日間の空白の時を埋めるように抱き着き離れない。ママが居なかった間起こったことを色々とお喋りしていた。やはりママが一番好きなのだ。

 おじいちゃんは心がほっこりとしたよ。そんな気持ちにさせてくれてありがとう木の羽ちゃん。