桜の季節になった。いよいよ春爛漫である。当クリニックの玄関に一本の桜の木がある。これは孫が小学校の入学時に植えた桜の木である。たまたま息子が植木市に行った時に無料で頂いた木だ。

 頂いてきた時は、本当にこんな小枝みたいなのが上手く育つのだろうかと不安だった。せっかく頂いた木ではあるが、枯れてしまっては孫が何か運に見放される気がした。

 そこでわざわざ植木職人の方にお願いして植えていただいた。その小枝の太さの10倍位はありそうな添え木を添え、どんな強風が吹いても倒れないようにしてもらった。それはまるで我が子を親が抱いて守るような風景であった。

 その後どうなっているのか様子を見に行くが、少しずつ大きくなって安心した。次の年の春は花を咲かせることなく終わった。しかし次の年ほんの2~3輪花をつけた。とても嬉しかった。その後毎年大きくなり、今ではもうその背丈は優に孫の背丈を超えている。花は数えきれない位に沢山咲くようになった。今春も蕾から始まった桜は満開になった。それは孫の成長そのものに見える。

 兄が大学入学の時に白い木蘭を、姉は紫の木蘭を記念に植えてもらっている。だが私にはそういう木がない。だからこそ、そういう記念樹に憧れるのかもしれない。

 やはり子どもが生まれた時や、節目に木を植えるということは良いことだ。満開の桜を眺めながらそう思う。