産婦人科医の仕事。それは赤ちゃんを取上げる仕事である。しかしもう一つ仕事がある。それは上手く睡眠を取るということである。

 例えば昼御飯を食べたら、居間のソファーに横になる。1~2分もしたら夢の世界だ。孫が近くを走り回ろうが、家内がTVを観ようが関係ない。自然に眠りに落ちるのである。それも時間的には30分以内。これが夜の睡眠の貯えとなる。昼の20分の睡眠は夜の1時間もの睡眠に匹敵するといわれるから貴重である。

 夜はもう10時には床に入る。お産の入院がない時はロウソクの灯りの下で音楽を聴きながら入浴剤を入れ風呂に20分。これで充分寝るスタンバイが出来る。ベッドに横になり「笑点」を観る。と言っても画面は観ず耳だけである。ついクスッと笑ってしまうのであるが、それよりも話の間というのが実に巧妙で、そのリズムを聞いているとどういう訳か眠くなるのである。だからいつも毎回録画して観る。

 枕はニトリで買った、冷たくヒヤッとする枕である。私には女性と同じような更年期症状があり、寝る時に頭が熱くなるのである。この枕は夏の暑い時期にしか売っていないので、何個もまとめて買ってある。これがないと眠れない。

 部屋が暗くないといけないので、カーテンの他に暗幕が貼ってある。夏はそれでも眩しいので、発泡スチロールで目張りする。

 夜中に起きた時も明るくすると目が冴えるので、直径5cm位の100円ショップで買った灯りにガムテープを貼り明るさを調節する。その他に5mm大の蛍光シールを色々な所に貼ってある。エアコンやTVのリモコン、加湿器のスイッチ。暗くてもスイッチを確認出来るようにである。

 時計は何時か分からないように布を被せたり裏返しにしたりしてある。夜中に目が覚める時時刻が分かると、時間が気になって眠れないからである。

 夜中お産がない時は目を覚ますのが朝5時頃。それから前日にやり残したことにようやく取り掛かるのである。

 お産や急患で夜中に起こされることも多いのだが、朝まで何もない時は朝目覚めた時に必ず「あぁ、よく眠らせてくれて感謝。有難う」と言いながら起き上がる。それ位産科医にとって睡眠とは大事なものなのである。だから私はいつも元気なのだ。