5年ぶりに、学会の為出張した。
その会場は三重県の『津』。飛行機で名古屋の中部国際空港に着き、
そこから高速フェリーで40分かかる。
 時々、空をあおいでいる際、飛んでいる飛行機を見ると
「ああ、飛行機に乗ってどこか遠くへ行きたいなぁ」とずっと思っていた。
365日、24時間いつお産があるか分からないので、
出掛ける際も1時間以内で帰って来れる場所にしか行けない。
北は高鍋、南は日南、西は都城辺りがせいぜい出掛けれる範囲。
しかもお産の患者さんが入院している時は、病院の中にずっと居なくてはならない。
なぜなら突然、急変したりまだまだ生まれないだろうと思っていた人が急にお産になるからだ。
その為ここ5年位は県外に行くなんて夢の又夢だった。
 名古屋までは午後の便は1便しかなく、それも夜の7時50分発でかなり遅い。
久しぶりなので早目に空港へ向かう事にした。
受付カウンターで搭乗手続きをしようとチケットを出すと、
「すでに予約されているのでそのままで搭乗出来ます」と言う。
少し時間があったので屋上デッキに上がり、飛行機を眺めていた。
いよいよ飛行機に乗れるんだと胸がドキドキしてきた。
 15分前になったので手荷持検査する入口に行き、
荷物とウエストポーチを手渡し、チケットを見せそのまま入ろうとしたら係員の人に呼び止められた。
理由がよく分からないので首をひねっていると、チケットを目の前にかざすような動作をする。
どうもJRのスイカカードみたいに、その機械の上にチケットをかざすらしい。
そういう風にしたが、又制止された。
チケットをよく見るとQRコードみたいなものが印刷されていて、
その部分をかざさないと通れないらしい。
その部分を当てるとチケットがようやく確認され、中に入る事が出来た。
 飛行機の座席に座ると、もうそれだけで何だか旅気分である。
学会のはずなのに旅気分になっているのである。
機内でビックリしたのが、今まではジュースやウーロン茶やコーヒーがサービスで出てきていたのが、
「水とウーロン茶どちらになさいますか?」と尋ねられた事だ。
えっ?それしかないの!と思い、「要らない」と答えたら、
しばらくして今度はJRの車内販売みたいなカートを押して来て、販売を始めた。
 ジュース類300円、ビール500円、ワイン1000円、その他にもお菓子やつまみがある。
本当にJRの車内販売と同じシステムだ。ANA限定ビールがあるというのでそのビールを買った。
500円玉を出し、500円はちょっと高いなぁと思っていたら、ちょっとしたツマミが付いてきた。
これで500円ならまぁまぁだ。それを飲みほしたら、もう着陸体勢に入りますという。
 約70分のフライトだった。空港から動く歩道に乗り、高速フェリー乗り場へ。
津のターミナルまで40分。ターミナルに着いてビックリした。
バスはおろかタクシー一台さえも停まっていない。
仕方ないのでタクシー会社に電話したが、2~30分かかるという。
しばらく待っているとようやく来た。
「今日は花火大会があって、タクシーが全部出払っているんですわ~」
と申し訳なさそうに運転手さんが言った。
ホテルにチェックインし、お腹がすいたので近くの居酒屋へゴー!!
 メニューを見ると『マンボウの刺身』というのがあった。
注文してみるとマンボウの肉をサイコロ状に切ったのと、
ゴーヤをスライスしたような形で赤い色をした物が横に添えてあった。
味はあまりしないのだが、食感を楽しんだ。
 学会が終わり再び中部国際空港へ。売店で土産を探していると温泉のマークがある。
空港内にどうやら銭湯があるらしい。まだ少し時間があったので立ち寄ることにした。
作りは何処にでもあるスーパー銭湯なのだが、
風呂場から飛行機が離発着しているのが見えるのである。何かちょっと面白い感覚である。
 宮崎に帰り着いたのは夜の8時。たった24時間だったが、
本当にリラックス出来た24時間だった。今度はいつ飛行機に乗れるのかなぁ…。