『吉田類の酒場放浪記』というテレビ番組がある。
吉田類という私と同じ還暦を迎えたおじさんが、居酒屋を何軒か巡るという番組だ。
本当に立ち飲み屋からいわゆる居酒屋までいろんな形態がある。
たとえばお酒屋さんのコーナーにビールケースをひっくり返したような椅子とちょっとしたテーブルがある。
いわゆるカクウチといわれる酒場だ。
酒屋だからビール、酒、焼酎、ウィスキーなんでも置いてある。
つまみはピーナツ、オカキなどの乾き物。
それと缶詰やソーセージと至ってシンプルなものである。
酒屋だから酒代はほとんど原価。缶ビールが300円、酒が一合で400円というような具合だ。
つまみも一品100~200円位で、1000円あれば結構酔える。
しかも常連が居るとなるとそこで世間話が進む。
居酒屋もほとんど地元の人ばかり集う飲み屋で、とにかく安いのにはビックリする。
ビールは500円位とまぁ普通の値段なのだが、焼鳥串1本100円とか刺身でも500円位である。
安いからまずいかというとそういう事はない。味は天下一品なのである。
ただカウンターと、汚いテーブルで、店の飾りという物は何もない。
至ってシンプルな店ばかりである。
そういうのを見ていると私も同じように一見の客で居酒屋に行きたくなる。
実は、私もだいぶ前から同じように予算は1万円で5軒を巡るというのをよくしている。
ほとんどが一杯飲屋とバーで、1000~3000円位で飲めるのである。
例えばこの前行った店は、毎週木曜日、中ジョッキのビール30円。
おつまみは全部300円という安さ。
焼酎はサーバーに入り、各テーブルに置いてあり自分でつげばいくら飲んでも無料。
安いのは良いのだが、アルバイトの子が1人でやっているので、頼んでも20分以上はかかる。
その上呼び鈴を押しても中々来ない。
それでも安いし、1人1000円位の予算で飲めるので6時にもなると人が一杯である。
あるお店はカウンターに座ると、目の前の黒板に白、赤と書いてある。
「マスターこれ何ですか?」と尋ねると、
「これは魚の色。白身か赤身かということだよ。白だったらタイ、ヒラメ、赤だったらカツオ、クジラだよ。
魚の種類は指定出来ないけど、こうすれば安く提供出来る訳さ」。
「じゃあまずビール」と言うと
「お客さん、後ろに冷蔵庫があるから、自分で出して飲んでくれる。
栓抜きはそこにぶら下がっているからさ…」なるほど合理的に出来ている。
ある店は入口にレトロな感じの丸い押しボタンがあり、
それを押すとインターホンになっていて、「どうぞ」と言われると入れる仕組みである。
それもハシゴみたいな急な階段を上り3階にある。地獲れの野菜の料理で魚や肉は一切ない。
ちょっと酔っぱらうと、ハシゴみたいな階段から落ちそうで怖い。
しかしこんなに変な店なのにお客さんは一杯である。
最近はやりの立ち飲み屋も出来た。
目の前に枝豆やピーナツなどが並び、それをつまみにしながら飲むのだ。
いろんな酒があり、みんな計り売りになっている。つまみは100円からあり、飲み物も200円位である。
注文するとカウンターの上に灰皿みたいな物が置いてあり、
そこにお金を入れると品物を渡してくれる仕組みになっている。
千円札1枚もあれば飲めるので人気である。
その他にも色々面白い店がある。勇気を出して一見の客として入り飲む。
そこで又友となり人生を語ったりする。居酒屋は何と面白い所だろう。
私もいつかこのような番組を作ってみたいと思う。
タイトルは『谷口二郎、さすらいの酒場めぐり』是非やってみたい。