当院では、33年前(1985年、昭和60年)開業して以来立会い分娩を推奨してきました。まだ当時はそういう風な習慣が日本にはなく、分娩室は神聖なもので、男性が中に入るなんてタブーだった時代です。その為にまだまだ誤解されることが多く、「あそこ医院では生まれる所を、御主人に見せ、ビデオも撮るらしいよ」という噂がたちました。だから家族の方から「それ本当ですか?」とよく問い合わせがありました。中にはあるおじいちゃんから「そんなことはうちの娘のお産の時には絶対させません」というクレームもありました。しかしそれからだんだんと立会い分娩が理解され、今や殆どの方(約7割)が立会いという時代になりました。
当院では、御主人の他にもお母さんや上の子どもさんなども立ち会うことが可能です。上の子に何故立会いさせるのか。それは子どもにとって一番の性教育になるからです。ライブでそれを伝えることができるのです。必死に頑張るお母さん。そしてオギャーと出てくる赤ちゃんを見ることによって命の大切さ、尊さが分かると思うからです。そしてその立会った子が大きくなると、命というものをより以上に考えるようになります。先日、小学2年生の女の子の作文をお母さんが持ってこられました。それは次のような文章でした。
平成30年1月28日
題名:赤ちゃんが生まれるよ
わたしは、お母さんとおふろに入ったとき、あることに気がつきました。
お母さんに聞きました。
「さいきん、ちが出ないね」
赤ちゃんのおふとんが出ないのは、あかちゃんがおふとんにねていることだと思いました。
お母さんがおどろいていました。
おなかががもうちょっと大きくなってから、言うつもりだったそうです。
赤ちゃんが生まれるので、生まれるところを見たいです。
平成30年2月17日
題名:赤ちゃんのしんぞうの音を聞いたよ
わたしは、お母さんといっしょに、赤ちゃんのびょういんに行きました。
まっている間、「いっさいはん」という絵本を読みました。
一才半のようすがのっていました。
「すなばでじょうろにすなを入れる。じょうろにすながつまって、水が出なくてなく。」というのが、弟といっしょで、おもしろかったです。
名前がよばれて、おへやに入りました。
かんごしさんが「おなかにゼリーをぬりますね」と言いました。
わたしは食べるゼリーだと思いました。
何でぬるかというと、赤ちゃんを見えやすくするためです。
先生がおへやをくらくして、きかいをあてました。
先生が「左が頭で右が足だよ」と教えてくれました。
手は、ばんざいをしていました。そして、しんぞうの音と動きもみました。
赤ちゃんの大きさは66.1ミリで、とても元気でした。
わたしは赤ちゃんが元気に生まれたら良いと思います。
女の子らしい観察力にまず驚きます。お母さんを同じ女性として見ていて、将来私もこうなるのだという気持ちをもう既に小学校低学年なのに持っているのです。妊娠するとはどういうことなのか、お腹が大きくなるとどうなるのか、母親になるということはどういうことなのか理解しているのです。素晴らしい感性です。これからも、上の子の立会い希望がある時は、是非させてあげようと思います。きっと将来立派なパパやママになるはずです。