花火大会の夜、当院の屋上は毎年大勢の方でにぎわう。8月、宮崎市で行なわれる花火大会にあわせて屋上でバーベキューをするのが当院の恒例行事なのだ。日頃お世話になっている方をご招待して、のんびり語らいながら夏の大輪を愛でるのは格別である。
その花火が打ち上げられるのは、宮崎市を流れる大淀川の河川敷。以前、当院は松橋という所にあった。そこから花火が打ち上げられる場所まで目と鼻の先で、しかけ花火などもよく見えた。風向きによっては花火の煙が流れ込むのが少々難点ではあるが、それでも人混みにもまれることなく、のんびり花火観賞できるのでもってこいの場所だった。
ところが7年前、現在の上野町へ移転した。そこは繁華街にほど近く、打ち上げ場所からは少々遠くなった。しかも周りは高いビルが何棟も建っていて、もう花火は見えないかもしれないとあきらめていた。しかしラッキーなことにビルの隙間から、ちょうど花火が見えることが分かった。そこで移転した後も、花火を見ながらバーべキューをしようということになったのである。
さて、この花火大会が実施されるのは例年8月の第1土曜日であるが、今年は音楽のイベントと重なるという理由で、第2土曜日に変更された。毎年、当院のスタッフが屋上のセッティングからバーべキューまで全面協力してくれていたが、今年はスケジュール的にも難しく、例年通りにはいきそうもない。さて、困った。これで無事準備が出来るだろうかと心配したがスタッフや、取り引き業者のかた、家族の協力でなんとかきりねけられるめどがついた。
まずは、買い出し。なんせ、招待客やその御家族などを含めると50名を越える方がいらっしゃるのだから、それなりの品が必要だ。飲み物には、缶ビール、ワイン、日本酒、焼酎、ジュース、お茶。それとバーべキュー用のお肉にカルビ、ロース、豚バラ、地鶏、ソーセージ。それに厨房スタッフが心を込めて手作りしてくれた焼きそば、おにぎり、刺身、枝豆なども用意された。
会場となる屋上には、バーべキューセットにテーブルや椅子、ブルーシート、照明、電池式カンテラ、子供用の花火セット、紙皿、コップなどが運び込まれた。これも全てこれらの用意を心得ているスタッフのアドバイスのお陰で、どうにか支度を整えることができた。 
いよいよバーべキューの始まりだ。業者の方の手伝いを頂いて、いざバーベキューセットを組み立てようとするが、これが意外と難しい。四苦八苦しながらようやく炭をおこし、バーベキューの形になった。そこへ当院スタッフと娘達が加わって、暑さと煙と闘いながら次から次に肉をやいてくれた。なかなか大変な作業であるが、率先して協力してくれて本当に有難いと感謝、感謝。  
そうしてるうちに、次第に人が増え、すっかりにぎやかになった。どの方も料理や飲み物を片手に、花火が上がるまでの一時を楽しんでおられるようだ。その笑顔にホスト役の私もほっと胸をなでおろした。
その時だ。大きな音をあげ、夏の夜空に大輪の花が咲いた。待ってましたとばかりに、一斉に歓声があがった。それからしばらくの間、皆花火にみとれているようだった。フィナーレの花火が上がると、思わず全員拍手。今年の花火も美しかった。この感動を皆で共有できたことがなにより嬉しい。後片付けにはお客様もお手伝い下さったりして、アットホームな宴はこうしてお開きとなった。
それにしても、これまで花火大会の準備を当院のスタッフの好意に甘えてきたが、皆様に喜んで頂くためにはなんと段取りの多いことか。改めて、感謝である。
今年は、スタッフ以外にも家内をはじめ、長男夫婦、三女、四女にも協力してもらって助かった。ホストの側としては花火をのんびり眺める時間もなければ、雑用も多い。だが、お客様が喜んで頂ける。それが一番の喜びである。来年もホストとして、花火大会を頑張りたい。