人間誰でも老化していく。どんな人間でもだ。あのイチロー選手でさえ、40歳になって充分な活躍が出来ず引退した。カズ選手も50歳になり、試合の出番が少なくなった。何れも若者より運動能力が低下してきたからである。どんな有名な選手だっていずれ引退の時が来るのだ。

 我々も知らないうちに老化している。その時は気付かないが、あとから考えるとそれが老化の始まりだったということに気付く。

 例えばスーパーに行くと買物カゴを持ち、必ずカートにそれを載せ買物をしている。これはもちろん荷物が重くなるから利用するということもあるが、それを押すことでバランスがよくなり歩行が安定するのである。よく道ですれ違う年配の女性が、小さなカゴの付いたカートを押しているが、あれと同じように歩くのが楽なのである。

 スーパーの会計の時に必ずお札を出す。小銭があっても必ずそうしている。それは財布の中の小銭を数えるのが面倒だからである。お札だと必ずお釣りをくれるので、わざわざ数える手間が省ける。

 最近ペットボトルが開けにくくなった。数年前にスーパーのレジでお年寄りが店員に「ペットボトルの蓋を開けて下さい」と頼み込んでいた。「ペットボトルの蓋位自分で開ければ良いのに・・・」と思っていたが、まさにその気持ちが分かる。どうしても開かない時は、タオルを蓋に巻いて開けると開くので最近はそうしている。

 スーパーなどの駐車場で車を停める時、普通はスーパーの出入口になるべく近い所に停めるのが普通だ。しかし私は出来るだけ遠くの空いたスペースに停める。それは狭い所に停める自信がない。遠い所だったら回りに車が駐車していないので安心なのだ。なるべく近くへ停めようとグルグル回っている車を見るが、それを横目に遠い所に停める。それは入口まで歩くのに良い運動にもなる。

 洗髪する時にシャンプーとリンスを使うが、リンスをしたかどうか分からなくなり、自信がないのでもう一度リンスをしていることが多い気がする。というのも最近リンスの減り方が思ったよりも早いからだ。

 毎日歩数計をポケットに入れ歩く。そうするとその日何歩歩いたのか分かるからだ。先日は歩数計と思いポケットに入れ買物を済ませ家に帰ったら、それは車のキーだった。色形がよく似ていて、それに気付かなかったのだ。キーをポケットに入れていくら歩いても、何歩歩いたのか分かるはずがない。

 足の爪が上手く切れなくなった。今までは何の問題も無かったのが、最近は特に左足の爪が切れない。体が硬くなっているからだろう。先日はこの辺りかなと切ったらそこは指で、血が噴き出してして暫くはバンドエイドを貼っていた。

 ヒゲ、鼻毛が今まで以上に早く伸びる。しかもその殆どが白い。その為毎日の髭剃り、鼻毛切りは日課となっている。

 新型コロナの統計で、TVの画面に年齢別の表が出てくる。10代から始まり70代までの表が出る。それを見ていると70代以上は一括りになっている。それは70代以上は年齢に関係なく、70代で区切りをつけているということになる。古稀になるまではそれに気づかなかったが、70を過ぎるともう老人という一括りにされているのだ。

 人間は毎日老いという階段を上っていくのだ。それに気付くのはやはり古稀を過ぎてから。山でいうと今現在7合目まで登ってきたということだろう。頂上を目指しながら、時には下を懐かしく見る。それが人生に大切なことだとようやく今頃気付いた。