真夜中、ものすごい音がして目が覚めた。何が起こったのだろうと思って外に出てみると、近くの公園に直径50センチ位の穴があき、周りから煙がもうもうと出ている。一体何が起こったんだろうと近所の人たちもゾロゾロと公園に集まってきた。やがて警察が来て穴の周りにロープを張り、一体何なのか調べることになった。

 次の日、まず登山隊が呼ばれた。どれくらいの深さがあるのか調べるためである。エベレストで使用したロープを垂らしてみた。しかしどんどんそのロープは伸びていき、用意してあった一万メートルのロープでは到底足りそうにない。

 次の日、測量士が呼ばれた。入り口から音波を発し、それが跳ね返ってくるまでの時間を測るためである。しかし音は発しても全然返ってこない。少なくとも数キロ以上はありそうだ。

 次の日、水道局の人が呼ばれた。穴に水を注入していけば、その水の量で容積が測れると考えたからであった。ところが毎秒一トンもの水を流し続けたが一向に水が溢れる様子はない。ダム一杯分の水を使い一週間も続けてみたが溢れる様子など全くない。おそらく何十キロも続いているだろう。

 直径が50センチ位なので狭くて人が入ろうにも入れない。中の様子を見るためにテレビカメラを下してみた。しかし見える壁は黒く焦げたようになっているだけで、手がかりになるようなものはない。一体何の穴なのか、またどこまで続いているのか分からない。

 学者は首をひねり、どうしたらいいのか考えた。とりあえずその穴を埋めようということになった。ショベルカーが何台も用意され、その穴を埋めていった。しかし何日経ってもその穴は埋まらない。小山一つほど土を掘り起こし入れていっても全然ふさがらなかった。

 そこでゴミ捨て場に捨てていたゴミを投げ込むことにした。どうせ深い穴なので、これ以上ゴミ捨て場を増やせない市当局としても好都合だ。

 次の日、その穴には何十台もの清掃車の列が並んだ。その車から数えきれないほどのゴミが捨てられた。毎日やってくるものすごい数の清掃車が排気ガスをまき散らすので、近くの住民が反対し、一週間で中止になった。

 しかしこのままでは危険なので、とりあえずその穴に畳位の板を被せコンクリートで固めることになった。その工事が無事終わり、その穴も噂も人々から薄れていた頃である。

 南米のある小さな町で温泉が突然噴き出した。日本では温泉発掘はそんな珍しいことではないが、南米では初めてのことだった。人々は先を争いそのお湯で気持ちよさそうに体を洗った。今まではワニやピラニアに食いつかれはしないかと、恐る恐る川の水で水浴をしていたので、噴水みたいに吹き出る温泉は夢のようであった。ところが、一週間もするとお湯は枯れ、泥が吹き出てきた。その量はついに小山が一つできる位になった。

 泥が出てくるのが一段落すると。今度はいろいろ入っているゴミ袋が沢山出てきた。良く見ると空き缶やペットボトル、シャンプー容器、おにぎりの食べ残しなど中に入っていた。そしてそのボトルには「Made in Japan」と大きく印刷されていた。