数年前、3歳の孫が三輪車に乗って遊んでいた。
ところが勢い余って転び左手をついたという。
その後「痛い」と言うので、家内が医者である私にとりあえず診て欲しいという。
そこで診ることにした。確かにそこを触ると痛がる。それでもそんなにすごく痛がる訳でもない。
「これは単なる捻挫だよ。湿布でもしておけばそのうちに治る。」と湿布を渡して様子を見るように言った。
 次の日やはり痛いという。
「それならとりあえず整形で診てもらったら?捻挫とは思うけど、多分先生が『こんなのたいしたことない。
湿布で充分ですよ』と言われると思うけどね・・・」。そう言って行かせた。
しばらくしたらギブスをして帰ってきた。家内に「どうしたの?ギブスなんかして・・・」
「ねえ、あなた、骨折してると言われたのよ。
あなたって医者のくせに捻挫と骨折の区別もつかないの?医者だったらそれ位分かると思うけど・・・。
でも良かった。ちゃんと先生に診てもらって・・・。ギブス固定をしてもうこれで安心ね。
本当にあなたって役に立たないんだから・・・」。
 申し訳ないという気持ちと、本当に骨折してたのかなぁという疑問が混ざった複雑な気持ちだった。
 先日、又その孫がトゲを踏んで痛がっているという。「とりあえず診てよ」と家内に言われ、
それならと足の裏を見た。確かに3㎜位のトゲが刺さっている。
「とってあげようか?」と孫に言うと「痛いことされるのは嫌だ」と断られた。
「まぁトゲは異物だから自然にそのうちに出てくると思うよ」とそのまま様子をみるように提案した。
 その後元気に走り回っているので、やはりたいしたことはなさそうだと思い込んでいた。
ところがたまたま検診で小児科に行ったら「こりゃ化膿して大変なことになるから抜かないといけないですよ。
今からすぐ近くの整形に紹介状を持って言って下さい」と言われたという。
そこでその病院を受診すると、やはり抜いた方が良いということで抜いてもらった
。「本当にあなたって医者のくせに何の役にもたたないのね」確かにその通り。
二つもそのような事が続くと、さすがの私も落ち込んだ。
 さて私は花粉症をはじめアレルギー体質である。
いつも鼻がグズグズして春先は調子悪い。
ある日、TVで「シジウム茶」というのがアレルギーに効くというのを家内が見て、それを買ってきた。
箱に入っていて、煎じて飲むようになっている。実際煎じて飲んでみた。
見た目はウーロン茶みたいであるが、飲んでみるとちょっと苦い独特の味がする。
飲めない事はないのだが、ちょっとクセがある。
こんなもので果たして本当に効果があるのだろうか?と思いつつも
毎日煎じて作ってくれるので飲まない訳にはいかない。
 しばらくはあまり変化がなかった。
しかしそれまでは毎週のように皮膚科に行っていたのだが、気が付いたら全く行ってないことに気付いた。
それまでは手指がアトピーみたいに赤く腫れ、ひどい時には汁まで出て来る。その為痒くて眠れないのだ。
 手術の手洗いをすると、次の日は決まって痒くなり、
塗り薬だけでなく抗アレルギー剤やステロイドも内服しなくては治まらない。
そういうことが段々となくなった。今は全くそういう大変さが無くなってきた。
 去年まで、私は朝風呂に入っていた。
愛犬「ロキ」との朝の散歩が終わり、帰って来て汗を流す為に入るのである。
ある日家内がぽつりと言った。「あなた、お風呂は寝る前に入るようにしたら気持ちいいわよ・・・」。
ちょうど寒い時期だったのでそうしてみるのもいいかも・・・と素直に従った。
夜10時位に入るようにしたのだ。
するとあら不思議、今までは靴下を履き、電気毛布を「強」にしないと眠れなかったのが
ウソみたいになくなったのだ。しかもぐっすりと眠れるようになった。
お産で起こされない限り気が付いたらもう朝である。
快眠というのは本当に健康の源であるとつくづく思う。
 そう、私は迷医、家内は名医。