冬にお勧めのウォーキングスポット。それは西都にある西都原公園である。春には桜や菜の花、秋にはコスモスがきれいな花を咲かせる広場の北側にある。今の季節、落ち葉が沢山落ちていて、芝生みたいな草地をウォーキングする。遠くに目をやると、尾鈴の山々が連なっている。その公園のすぐ横に農地が広がっていて、今の季節は大根などが植えてある。
公園の中に小さな古墳が100程もあり、そこに行くと直径10m位の古墳が沢山並んでいる。その横を歩き、2000年以上古代の人々がこの中で眠っていると思うと、もしかしたらそれは私の先祖ではないかと想像を巡らすだけで楽しい。
ほとんどの木が落葉しているが、大きな楠の木だけは北風の中で悠然とそびえ立っている。その葉が北風に吹かれ、サワサワと音を立てている。公園の真ん中は風の通り道になっており、そこだけは大木が揺れている。
その公園の中に、ひとかかえもある木の切り株がある。それはペンキで緑色に塗られており、桜の花びらがそれに書き添えてある。大きな字で『夢』とあり、その横には『神世夢見るイス』と書いてある。ちょうど切り株が1人がけのソファーみたいなイスの形に加工してあり、出掛けるたびにそのイスに座ることにしている。すると、目の前に尾鈴の山々、すぐ横には沢山の古墳群、北風にサワサワ揺れる木の葉の音、そばに広がる黒々とした大地を眺めていると、日頃の喧騒を離れてゆったりとした気分になるから不思議だ。
暖かくなると、その公園にもポピーの花などが植えられ、春の訪れを教えてくれる。その公園の近くには桜の苗木が植えてある。桜のオーナー制度で、そこに植えてあるのは桜のオーナーによって植えられた桜だ。米寿のお祝い、会社設立記念、孫の誕生祝いなど植えた理由はさまざまだが、その木にも小さな蕾が顔を出している。そう、もう春はそこまで近づいているのだ。
もうしばらくすると、黄色いじゅうたんを敷詰めた様な菜の花が一面に咲くと同時に桜も咲き始め、西都が一勢に春めく。春のお祭りには屋台が並び、沢山の人々がそこに集う。これまで私は菜の花とコスモスの時期にしか行ったことがなかった。しかしこの人気の少ない冬枯れた公園を散歩していると、何だかこれから先の短い人生というものを考えさせられ、哲学者になったような気がする。そう、この公園はまさに今の寒い時期にウォーキングするのにお勧めだ。体を動かして凍える体を温めた後は、お楽しみが待っている。必ず帰りに『菜の花館』に寄り、ソフトクリームを食べる事にしているのだ。それはアシタバのアイスクリーム。甘さ控えめで、私の大好きな一品だ。
西都もバイパスが出来、宮崎市内から30分位で行けるようになった。西都原公園に行かれた際は『神世夢見るイス』に腰掛けてみてはいかがだろうか。座った瞬間、雄大な自然の中で今まで味わったことのない至福の時を過ごせること間違いない。