年に1回、人間ドックを受けることにしている。それはもう30年近く続いている習慣である。時期は1月。というのもこの月は寒くてどこも遊びに行けないので、いつも1月中旬である。
 コースはいつも同じ、検尿、血圧、胸部レントゲン、採血、腹部エコー、心電図、眼の検査、胃透視である。1時間ちょっとで終わる。
 初めて受けた時、着いてすぐ緊張していたせいかトイレに行った。その後受付の人が「尿の検査をしますから尿をとって棚に置いて下さい」と言う。あらららら…「今行ったばかりですけど、どうしたら良いですか?」と尋ねると、出るまで待ちましょう。それから30分位してようやく検尿できた。
 当院でも「トイレ行っても大丈夫ですか?」という患者さんからの声が聞こえることがある。それまでは「何でそんなこと聞くのだろう?」と思っていたが、それを経験してからはその意味が良く分かった。 
 採血も一昔前までは普通の針だったが、最近は針が付いている翼状針というビニールの管みたいなもので採血するので今までみたいにあまり痛くない。
 待合室や検査室の部屋は暖めてあるのだが、寒がりの私にとっては寒い。そこで最近はヒートテックと靴下をはいたまま検査をしてもらっている。そうすると全然寒くない。他の人を見るとそんな人は誰もいない。やはり私はかなりの寒がりなのであろう。
 視力検査はずっと前は自信があった。両方とも1.5。しかし最近、左目は1.5なのだが右目は0.7と視力が落ちた。それでも新聞はメガネ無しでも読める。母も80歳過ぎてもメガネ無しで新聞を読んでいたことを考えると、視力が良いのは生まれつきのものだろう。メガネが要らないというのは本当に幸せなことである。
 身長は毎年ミリ単位で減っている。176cmあったのだが、今年はついに175cmを切ってしまった。因みに今まで着るものはLLサイズだったのが、今はLサイズでぴったりである。からだ全体が縮んでいるのかもしれない。
 体重が昨年に比べると5kg位も減っている。それは嬉しい。実は1年前食欲が全くなくて何も食べられなかった時期がある。大食漢の私がほとんど何も口にしないので家内がとても心配した。おかゆと梅干し。それとセブンイレブンのインスタント鍋位しか食べられないのだ。いろいろ検査したが原因が分からなかった。しかしある日突然食欲が戻った。その期間が1ヵ月間位あったので5kgも減ってしまったのだ。
 それまでスリムになった人に平気で「最近痩せたんじゃない?」と尋ねていた。ダイエット中に痩せたと言われるのは嬉しいかもしれないが、そういう努力もしていないのに「痩せたんじゃない?」と尋ねるのはとてもその人を不安に陥れるものだとその時気付いた。それから食欲は普通にあるのだが、中々体重は増えない。不思議である。だからズボンがずり落ちて腰パン状態で時々足がもつれそうになる。
 胃透視は苦手な検査の一つである。発泡剤をまず飲まされて「ゲップをしないで下さい」と言われてもそれは無理というものだ。バリウムは便が硬くなるので下剤を入れるのだが、一度「入れないで結構です」と断ったらものすごい便秘になったことがある。
 次の時「多目に入れて下さい」と頼んだら今度は帰りの車の中でお腹ゴロゴロとなり、何とか自宅まで持ったが水様便。それも真っ白なので何か不気味である。
 結果が分かるまで3週間。その間ハラハラドキドキしながらの生活をしなくてはならない。小心者の私にとって食の細る3週間でもある。今年の結果はどうだろうか?眠れぬ日々が続く。