先日テレビ番組を見ていたら、バイオリニストの葉加瀬太郎が出ていた。彼は爪切りでは決して爪を切らないという。それでは何で爪を切るのか。それは何と自分の歯で爪をかみ切るのだそうだ。だから生まれて一度も爪切りを使ったことがないという。もし深爪でもしてしまったら、バイオリンが弾けずマンマの食い上げになるからだと言っていた。 

 ゴルフの青木功も、趣味は爪切りだそうだ。その為にポケットの中やゴルフバックの中などありとあらゆる所に爪切りがしのばせられていて、いつでも爪が深くカットされる様にしてあるという。

外科系の医師も、爪にものすごく気を使う。少なくとも2、3日に1回は爪を切っているはずだ。何故なら爪が伸びていると不潔だからである。 

 私もその例にもれず、爪には神経質だ。爪切りもその辺のコンビニで売っているような爪切りでは満足出来ない。今使っているのは2つともドイツ製の爪切りである。1つはDASという会社のニッパー型爪切り、もう1つはゾーリンゲンという会社のミニ爪切りで、長さはたったの6センチしかない。いつでもどこでも切れるように購入したものだ。いずれも数千円もする爪切りで、その値段はちょっと高いと思われるかもしれないが、私には大切なものなのだ。

 旅行に行ったりして爪が伸びてくると、早く切りたくなりウズウズして旅行どころではなくなる時もある。長く伸びる爪のことを考えたら、夜も眠れなくなるのだ。

 だからどうしても爪が長い人を見ると気になる。女性は爪を伸ばしている人の方が圧倒的に多い。中には2センチもある様な付け爪をしている女性に出会うことがある。そんな風にしていたら料理どころか、お尻だって拭けないだろうし、プルトップのカンコーヒーさえも開けることが出来ないだろう。ボタンだってかけづらいだろうし、もし付き合っている人とケンカでもしたら、相手の男の顔中血だらけになる様な気がして恐い。

 テレビを見てると、ほとんどのアナウサーが爪を伸ばしている。フリップを指示したりする時に、マニキュアのオシャレを見て欲しいということだろう。確かに指示している時はきちんとマニキュアしてあり、きれいに見える。だが物をつかんだりすると爪の裏側が見える。それをよく見るとどうみてもきれいだとは思えない。

 先日NHKの朝の番組で、ネールアートの話をしていた。ヤスリ、綿棒を使って形を整え、その上にマニキュアを塗っていく。最近ではその上に又小さな図柄などを描いたり、小さなシールを貼って遊ぶのだそうだ。中には真珠みたいな球形のものをボンドでくっつけたりしている。その様子を見ていると、それだけで2~30分はかかりそうな感じだ。

 お化粧をして髪をととのえ、爪の手入れをして洋服選びをすると、少なくとも朝の一時間はそれでつぶれそうだ。何と大変な努力を女性はしているのだろう。それに引きかえ、男の気楽なこと。ヒゲをそって顔を洗うだけでいいのだから、5分もあれば充分である。そう考えると男に生まれてきてよかったとつくづく思う。