3月3日はお雛様である。そのイベントが至る所で開催されている。そこで先日2日続けて雛祭りを見に行った。

 1日目は綾町。街中にお雛様が飾ってある。綾町では江戸時代から『雛山』というものを飾る風習がある。女の子が生まれると、近所の人達が木の枝などで人形を作り、それに花木や古木、石と一緒に飾るという習慣である。それは年々立派になり、幅数メートルもある雛山も作られ綾を訪ねる人達を楽しませてくれる。商店街には各店舗にこの雛山が飾ってある。それを訪ね歩くのが『綾雛山祭り』なのだ。

 孫は毎年この祭りを楽しみにしている。4歳になった今年は、自分自身がお姫様の格好をして綾に行きたいという。その理由は“コッちゃん”に会いたいと言うのである。「コッちゃんとは一体誰?」と尋ねると家内がそれは洋品店の前に飾ってあるマネキンで、孫が勝手にコッちゃんと呼んでいる人形だという。和服を着てちゃんと店先に立っているという。そこでその店に行ってみることにした。

 しかし行ってみると居ない。店のおじさんに聞いてみると、風が強いので店の中に入れてあるという。そこで特別にお願いをして店先に出してもらった。去年と同じように横に孫を立たせてみると、去年までは人形の方が背が高かったのが、今年は孫の方が背が高い。気が付かないうちに身長が随分伸びていたのだ。孫は久しぶりにコッちゃんに会え、しかも服装も同じようだということで大喜びである。

 次の日は西米良に行った。ここはカリコボーズの湯というところで雛祭りをやっている。中に入ると竹で作られたオブジェの前に置いてある雛人形が印象的である。

 お腹が空いたので食事をすることにした。期間限定で雛御膳というのがあったのでそれを注文した。すると西米良サーモンと呼ばれる刺身をメインに、美味しそうな御膳が運ばれてきた。何れも山の幸いっぱいである。とても美味しくて幸せな気分になった。

 今年は天気に恵まれた連休であった。しかし残念だったのは新型コロナウイルスの影響で人が少なかったことだ。いつもは大勢の人で賑わう雛祭りだが、今年は出かけるのを控えようとした人が多く、色々なイベントが中止に追い込まれていた。

 来年はきっと又いつものような雛祭りが開かれることだろう。そして又あのコッちゃんに会いたい。