先日TVで衝撃的なニュースを放映していた。
それは顔面移植というものである。それも人間のである。10代の女性が失恋し、それで衝動的に銃で顎の方から銃を発射し、自殺を図ったという事件である。
弾丸は脳の方は貫通しなかったが、鼻の周りの部分が全くなくなってしまったというのである。つまり顔がそのままなくなってしまったのだ。
その少女には救急処置が施され、命は取り留めたものの顔を失くしてしまい将来を悲観したという。そこで顔面移植をしようということになったのだという。しかし、他の臓器移植と違い、何せ顔である。顔を移植するということはまずとにかく顔を探さなくてはならない。それが成功しても顔が全く変わるということになる。
全米で最近亡くなった若い女性の家族に「顔を下さい」といっても中々その希望は叶えられなかった。しかし辛抱強く探した結果、ようやく見つかり顔の移植が行われ、成功したという。
TVでは顔を失う前の可愛らしい彼女の写真、失った直後の写真、そして移植後の写真を公表していた。失う前の写真とは比べようもないが、そこには彼女の「生きる!」という強い意志が表れていた。
話は変わるが、先日私の古稀祝いの為に、孫が私の似顔絵を描いてくれた。紫色の衣装と帽子を被った私がそこにはいる。顔は若く描いているがよく似ている。これは紛れもなく今の私の顔である。オギャーと生まれた時と全く違う顔であろう。しかし今はこんな顔になってしまったのである。その似顔絵の周りには
たくさんの命をとりあげて
にこやかな笑顔ステキです
ぐっど どくたーで五人の父
ちょっとお茶目な
じまんのおじいちゃん
ろきとお母さんと家族と共に
うんと人生謳歌してね
と私の名前を頭文字にした文章が書いてある。生まれた時から人間は少しずつ顔が変わっていく。それはまるで毎日顔面移植をしているようなものだ。少しずつなので自分では気が付かないが、それは大きな目で見れば、年齢を重ねるということはやはり移植をしているということになる。
自分の顔に責任を持てと言われた年齢などとっくに過ぎているが、やはり死ぬまで自分の顔には責任を持つ必要がありそうだ。
因みに世界初の部分的顔面移植は2005年にフランスで行われ、フルフェイス移植は2010年スペインで行われたという。