朝、5時に目覚める。
人からは「早いですね~」とよく言われるが、還暦を過ぎれば、
みんなこんな時間に起きているに違いない。
というのも隣の同世代の男性も、その時間に起きるらしく、
朝早くから庭や近くの道路などに水をまいている。
 6時になると、愛犬『ロキ』と散歩に出る。
「6時って早くないですか?」と尋ねられるが、
今の季節、それよりも遅いともう日差しが強くてものすごく暑くなるので、
6時がタイムリミットなのだ。
 出掛けるのは近くの大淀川の堤防だ。
自転車で約5分。すぐ近くなので助かる。堤防に着くと、その下にある川辺に降りる。
今の時期、夜露が沢山草に付いているので、
長いジャージを履いていかないと足先がグチュグチュに濡れる。
 ポケットにはケイタイ、小さなカセットレコーダー、ティッシュ、ゴミ袋、
電池、折りたたみのハサミ、使用済の割り箸などが入っている。
これらは散歩に必要な7つ道具である。カセットレコーダーには好きなアーティストのカセットを入れ、
歩きながらそれを聴いて楽しむ。多くのウォーキングの人はイヤホンを付け歩いているが、
私のはスピーカーから音が出ているので、人の後ろを歩いていると、
「何だこの音は?」と振り向かれる。
しかしそれでも野鳥のさえずりや、虫の声など同時に聴けるので一石二鳥という訳だ。
ハサミは花が咲いていると、それを摘んで持って帰り、一輪挿しにして、病院の給食に飾りとして使う。
一年中いろんな見知らぬ花が咲いていて、それを摘むのも楽しい。
ましてそれを入院患者さんが見て楽しむのだから、私の心もワクワクする。
6月頃はアザミが沢山咲いていて、アザミのトゲにチクチク刺されながら摘んでいた。
 道路に落ちている小さなゴミは気付いた時に出来るだけ持って帰るようにするのだが、
川が増水した時などは、上流からペットボトルや瓶、発砲スチロールの箱など大きなものが流れ着いてきている。
そういう時は特大の袋を用意していかないと入らない。
雨が降った時、雑誌や新聞紙などは結構水を含んで重くなるので、持って帰った後、肩が凝ったりする。
 「すごく良い事をされてますね」とよく言われるが、人から褒められようとしている訳ではない。
ただ単純に自分が散歩している道路にゴミが落ちているのが許せないのだ。
せっかく朝、気持ちよく散歩しているのだから、その日一日気持ちよく過ごしたいというだけの事だ。
しかし時々、通りすがりの方から「お疲れ様、大変ですね」と声をかけられるとやはり嬉しい気持ちになる。
 ゴミの多くはペットボトル、空き缶、食物の残りなどだが、
最近ではそれらがスーパーの袋に入ったまま捨てられているので、持ち帰った後の分別が大変だ。
 さて、7つ道具の割り箸は何に使うか?それは『ロキ』が用をたした後に使うのだ。
コロコロウンチなので、それを箸で掴んで処理するのだ。
犬小屋に繋がれている時はやはり出ないらしく、1回の散歩で2回は必ずする。
 先日は小雨の後、青空が顔を出していたので、これ位だったら降らないだろうと出掛けた。
すると帰る途中で、ドシャ降りになりビショビショに濡れた。
久しぶりに自然に触れた気がして、雨だれの音も久しぶりに聞いた。
たまにはずぶ濡れになるのもいいものだとその時思った。
 大雨が降った翌日に、いつものように散歩に出掛けた。
下がぬかるんでいてツルツル滑りそうになりながら歩いていたら、
草地の真ん中に直径30㎝位の大きな石があった。邪
魔だなぁとそれをどけようとすると、ゴソゴソ動いている。何と石に見えたのは大きなカメだったのだ。
今話題になっているカミツキカメかと恐る恐る近づいたが、そうではなく、普通のカメだった。
どうやら上流の池に住んでいたのが、この大雨で流されてきたらしい。
 早速、それを袋に入れ持って帰った。魚や肉などを与えると大きな口を開け、パクリと食べる。
よほどお腹が空いているらしく、大食漢なようだ。
しばらく腹ごしらえをしてもらったら、また自然に帰してこようと思う。
 早起きは三文の徳だという。確かに早く起きて行動に移るという事は体にもいいようだ。
『朝活健康法』というのが今ブームという。これからも愛犬『ロキ』と散歩に行こう。
ロキの為にもそして私の為にも…。