先日久しぶりに無印良品に行った。そこの食料品コーナーに立ち寄るとコウロギセンベイ(220円)を売っていた。えっ!?もしかして私の見間違いかな?まさかコオロギはセンベイにしないでしょ!それとも今日は4月1日エイプリルフール?と思った。しかもそこの横にはコオロギチョコ(220円)というのが置いてある。どうやらコオロギがその中に入っているのは間違いなさそうだ。調べてみると驚くことでもないらしい。これからは肉や魚に代わって昆虫が食料の中心になる時代が来るという。

 NTTは既に食用コオロギの生産に踏み切っている。約50cm四方の飼育柵に1000匹を入れ、それを400箱も世話しているという。つまり40万匹コオロギを育てているということになる。この世話をするのは2~3人の従業員で可能だというから、人件費も低く抑えることが出来る。さて何故コオロギなのか?それはコオロギは蛋白質を豊富に含む。しかも飼料が少なくて済み、牛のゲップなどによるCO増加など環境を汚すこともない。まさに養殖には最適なのである。

 100匹分を粉末状にしたカップ麺“コオロギうどん”を売り出した人もいる。東京では『アントシカダ』というレストランがあり、色々な昆虫食が食べられるそうだ。一風変わっているのは水中昆虫のタガメの肉。食べると何と洋ナシの香りがするという。その他にもハムシの幼虫。これは杏仁豆腐香りがするそうだ。因みにフルコースを頼むと飲み物込みで11000円。

 その他にも『広島コオロギ』はアーモンドを混ぜた餌で香ばしい甘みがするそうだ。『京都コオロギ』は京野菜を餌にして優しい出汁が出るという。昆虫は消化器官が簡単に出来ているので、餌の味が出やすいという。徳島県の高松市ではコオロギ粉末入りのコロッケが給食に出てきたそうだ。ということはこれから学校給食にコオロギをはじめ色々な昆虫給食が食事として当たり前に出される可能性がある。

 宮崎でもちりめんじゃこを食べさせた『ちりめんコオロギ』を発売している。これを食べるのは人間ではなくペットの爬虫類の生き餌として出荷している。私の娘は大の爬虫類好きで、学生の頃定期的に近くのペットショップで生きたコオロギを買ってきていた。それをゲージに入っているトカゲがパクっと美味そうに食べていた。これからはそういうコオロギもちりめんコオロギに取って代わるのであろうか。この会社では将来コオロギを小麦粉と混ぜたクリケットフラワーというものを売り出す予定だという。楽しみだ。

 さて何故こんなに昆虫食が話題になるのだろうかその一番の原因が将来考えられる食糧危機である。50年前35億人だった世界人口は今や80億人である。これ以上人が増えていくと食糧難に陥ってしまう。既に今やかなりの人が飢餓に苦しみ、たくさんの人が亡くなっている。また地球温暖化で不作が続き、食べるものも安定しない。しかも世界中の人が肉を食べたいと肉牛を育てる。その飼料も限られている。

 そんな中比較的手を付けやすい昆虫食に目が向けられたのだ。それは10年前の2013年昆虫食を奨励する報告書を国際連合食糧農業機関から出された頃から始まった。育てるのに狭い面積と少ない餌、短期的で飼育出来るなど効率的に食料を供給出来るということが昆虫食の最大のメリットだからである。

 世界での昆虫食の市場規模は2019年には70億円だったが、2025年には1000億円にもなるという。因みに私の家内は秋田の生まれ。小さい頃からイナゴはよく食べていたそうで、昆虫食といわれてもあまり驚かないそうだ。但しゴキブリを見つけると金切り声をあげるが…。