我がレディースクリニックが心がけていることが一つある。それは当院に受診し、出産された方の母子手帳の記録を日本一綺麗に書き込み、生まれた赤ちゃんの顔写真シールを沢山貼り、お母さんに手渡すことである。
まず、妊娠中の経過を記すページには毎回「たにぐちレディースクリニック」のシールを貼ることにしている。病院によっては無造作に印鑑が押してあったり、医師本人のサインなどがしてあるのを見かけるが、あまり見た目が綺麗ではない。その点、シールだと綺麗に見える。
体重変化の記録では、分娩予定日の所に赤線を引き、検診日ごとに体重を測定し、グラフにしていく。そうすることで体重オーバーを早期に見つけることが出来、それが安産につながる。
血圧や検尿などの記録も、なるべくスタッフが綺麗な字できちんと書くようにしている。病院の座版なども歪んだりしないように押す。検査データも曲がらないように貼る。
出産後は生まれた時の赤ちゃんの顔写真と、退院時、赤ちゃんを囲んでの家族写真を母子手帳の表紙と1ページ目の所にシールにして貼る。その為1ヶ月検診後の小児科の検診でもその赤ちゃんのシールを先生や保健師さんが見て、当院で生まれたことがすぐ分かると言って下さる。
母子手帳は小学校に入るまで、つまり6才までの子どもの記録になる。手帳の余白には、その時のお母さんの気持ち、赤ちゃんの状態を書き込めるので、これ一冊あれば子どもの小さい時の様子が手に取るように分かる。つまり赤ちゃんの成長記録の代わりになるのだ。
最近では「父子手帳」というのも出ている。勿論母子手帳みたいなものではないが、それに代わるものだ。大きく分けて2つ。一つは母子手帳と同じように役所で作り、有料(1冊150円位)で配っているもの。もう一つは本屋などで扱っていて、一冊1000~2000円位で販売しているものである。その内容は、例えば妊娠中の女性の心身の変化や赤ちゃんの発達などの知識、離乳食やミルクの飲ませ方、育児サービスや支援制度の紹介などである。
考えてみれば、今や男女共同参画の時代。少しずつではあるが、父親の育児を後押しする社会へ変わりつつある。2~30年前の我々の子育ての時代は、女性は結婚して子供を生み育てるのが当たり前、一方男性は仕事だけして家庭のことは女性にまかせっきりにしておけばよかった。夫が家事育児を手伝っていると「あそこは奥さんの尻に敷かれている」「あそこのダンナは女々しい人だ」中には「仕事もせずにブラブラしながら家で子供の相手をしている」という変なウワサが流れることもあった。 しかし今は違う。やはり子供には母親と父親が必要で、それぞれ役割分担がある時代になってきた。父親がオムツを替えたり、お風呂に入れたりするのも当たり前になりつつある。今からは父母が手に手を取り合って、子供の成長を温かく見守る。そんなことが当たり前の社会にきっとなるだろう。