テレビをつけると、お正月の福袋のニュースをやっていた。画面には渋谷にあるデパートで、オープンする前の日からデパートの玄関に徹夜組女性達が路上に座り込んでいるシーンが映されている。オープン2~3時間前になると、その列は延々と近くの駅の改札口までアリの行列みたいに続いていた。その数何と1万6000人という。その殆どが若い女性だ。
店がオープンすると同時に、彼女らは「走らないでください!」と言う係員の制止を振り切って、一斉にエスカレーター目掛け駆け出して行った。福袋コーナーには怒号が飛び交い。福袋をゲットしようと、押し合い圧し合いしている。中にはその為に着ていた服が破けたりして、ベソをかいている若い女の子もいた。
男の私としては福袋にあまり興味はない。何故ならいくら中にお買得品が入っていると言っても、何が入っているのか分からないし、しかもLLサイズの私に合うサイズのものが入っているとは到底思えないからだ。テレビでも会場に来ている中年の男性は「娘に一緒についてきて来て欲しいと言われたのでついて来た」と会場の隅で、その凄さに溜息をついていた。
その他にも男性の私には分からないことを最近よく見かける。美容室もそうだ。殆どの美容室は外から見える様になっていて、タオルを髪に巻いたり、ピン止めをした風景が外から眺められる様になっているが、最近近くに出来た美容室は、座る向きが道路から真正面になっていて、歩いていると顔が直ぐ窓から見える様になっている。
あぁ、これじゃいくらなんでもお客様は来ないだろう。何せ窓から50cm位の所に顔があるのだから、外からカットしている所が丸見えなので、恥ずかしくてとても誰も来ないだろうと心配していた。ところが先日の夜、店の前を通ってみると窓際にある5つの椅子は既にお客様が座っていて、それはこちらを睨んでいるようにも見え、こちらの方が恥しくなった。それはまるで「私今から美しく変身するのよ。いいから黙って見てなさい」と言っているみたいに見えた。
もし散髪屋でこういう店を作ったら誰も行かないだろう。だって、私なんか散髪屋に行き、あの椅子に座るとどういう訳か急に眠くなり、ヨダレを流しながらウトウトしてしまうので、そんな姿を通行人の皆様には見せたくない(最も見たい人もいないだろうが)。
中年のおじさんが色々言っても仕方ないことだが、若い女性にとってはそれらのことが当たり前な行為なのだろう。だが中年のおじさんにとって、首を捻らざるを得ない様なことが、若い女性に次々と起こっていることは間違いない。それは年寄りの冷水と呼ばれているものかもしれないが…。