日本では、1年間に約1万5千人の女性が子宮頚がんにかかり、
約3千5百人が亡くなっているといわれています。
最近は特に、20~30代の若い女性で子宮頚がんの患者さんが急増しています。
 子宮頚がんは、発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで
かかる病気だと言われています。
発がん性HPVは、特別な人だけが感染するのではなく、
誰でも感染するありふれたウイルスです。
但し、感染したからといって必ず癌になるわけではなく、
子宮頚がんになるのは感染した人のうちの1%未満であると考えられています。
発がん性HPVのうち、子宮頚がんから多く見つかるタイプはHPV16型と18型です。
 ほとんどの女性が一生に一度は発がん性HPVに感染するといわれていますが、
ほとんどの場合は自然に排除されます。
しかし、このウイルスは何度も繰り返し感染することがありますので、
性交渉の経験がある場合でもワクチンを接種して次の感染を防ぐことが大切です。
 子宮頚がん予防ワクチンは、HPV16型と18型の2つのタイプの発がん性HPVの
感染を防ぐことが出来ます。
但し、その他の発がん性HPVの感染は予防出来ませんし、
すでに感染しているウイルスをなくしたり、がんになるのを遅らせたり、
子宮頚がんを治したりすることは出来ません。
 子宮頚がん予防ワクチンの接種対象年齢は10歳以上の女性です。
性交渉を開始する前の年齢で接種するのが最も効果的であると考えられますが、
発がん性HPVに感染したとしても、多くの場合は免疫により排除される為、
次の感染予防という点から、成人女性でも接種意義は充分あると考えられます。
特に45歳までに接種することが推奨されています。
 昨年12月に発売された子宮頚がん予防ワクチンは、
唯一がんを予防出来るワクチンとしてこの世に生まれてきました。
それは画期的なことだったのですが、その反響はあまり大きくはありませんでした。
 ところが子宮頚がんになった、和田アキコ、向井亜紀、仁科亜希子。
最近では三原じゅん子、残念ながら亡くなったZARDのボーカル坂井泉水など、
子宮頚がんにかかった人達の多さが報道されると、それが大きなニュースとなり、
いろんなマスコミで取り上げられるようになりました。
 当院でもワクチンについての問い合わせが多くありました。
最初に接種に来られた方は59歳の女性でした。
その後、当院でお産をされたお母さんが娘さん達を連れ、次々と来院されています。
 ワクチンを接種すれば、子宮頚がんに7割の方がならないというのは魅力的な事です。
やはり女性特有の病気には、誰でもなりたくないものですから…。
それでも1回目の接種から1カ月後、6カ月後の3回の接種をしなくてはならない事や、
費用が全部で5万円近くかかる事、完全には防げないなどの理由で、
二の足を踏んでいる人も多いのは事実です。
 しかし全員にワクチンを打てば、子宮頚がん治療にかかる
医療費を200億円も削減出来るという事ですから、もう少し国も援助をしてもらいたいものです。
全国では沢山の自治体が補助を行っています。
宮崎でも西米良、串間などが全額補助をしています。
ワクチンで、防ぎきれなかったがんを早く見つけて治療する為には、
子宮頚がん検診が必要です。子宮頚がんは、がんになるまでに長い時間がかかる為、
早く見つければ、がんになる前に治す事が出来ます。
 是非とも子宮頚がんワクチンを受け、年に1回は検診をして子宮頚がんにならないようにしましょう。