私の末娘はちょっと変わった動物オタクである。小学2~3年生の頃からそれは始まった。最初に興味を持ったのが「カマキリ」。道端でカマキリを捕まえては、虫カゴに入れ飼い始めたのである。そのうちカマキリの首に紐を括りつけ、まるでアヒルのレースみたいに廊下を這わせる競争を始めた。又、CDを聴かせて、カマキリにダンスを教えたりしていた。信じがたいことに、音楽に合わせてダンスする様はユーモラスで家族中が腹を抱えて笑った。
ある日、ポシェットに沢山のカマキリを入れ、犬の散歩に私と一緒に行った。その時すれ違った中年の女性に「お嬢ちゃん可愛いポシェットね。その中何が入っているの?」と尋ねられた。するとポシェットを突然開けたので、何匹ものカマキリが飛び出しその女性がカマキリ声ならぬカナキリ声を上げたこともあった。
その後トカゲに異常に興味を示し、道端でトカゲを捕まえて飼い始めた。誕生日のプレゼントも、どうしてもトカゲが良いと言い張るので近くのペットショップでヒョウモントカゲというヒョウみたいな柄をしたトカゲをプレゼントした。学校から帰ってくると、ランドセルを放り出しトカゲをプラスティックの容器から取り出してトカゲとキスをする。宿題をさせる時も、ちょっと目を離すとすぐトカゲの所へ行ってエサのコオロギを食べさせている。
クリスマスのプレゼントにはヘビが良いということで、どうしようか家内と相談した末、ミニヘビ(鉛筆位の大きさ)をプレゼントした。そしたらポケットに入れ一時も肌身離さない。エサはモルモットの赤ちゃんを冷凍したもので、家の冷蔵庫に入れてあったが、家族が嫌がるので内緒で私のおつまみが入っている所に入れてあるという。それを与えると、パクッと食べゆっくりとノドを通り過ぎて30分位してようやくお腹のあたりで止まる。その間娘はずっと飽きずに眺めている。
ある日イグアナを飼いたいと言い始めた。イグアナは生まれたばかりの時は手の掌に乗る位であるが、1年もすると体長1mにもなる。大きくなるとエサも大変。寒い所では死んでしまうので、ヒーターも大きいものを用意しなくてはならない。新聞紙に実際の大人のイグアナの大きさのハリボテを作ったら、あまりの大きさにようやく諦めてくれた。
ヘビの次はカメレオンが欲しいと言っている。色が自在に変わる所が気に入っているらしい。将来は爬虫類の動物園を作りたいらしい。確かに哺乳類に比べると鳴かないので静かで良い。深夜でも物音一つしない。動物独特の臭いもない。そういうことを考えると、若い女性に爬虫類マニアックな人が多いというのもうなずける。
娘の夢は、大蛇を首に巻いて寝てみたいということらしい。夏の暑い時は冷たくて気持ち良いだろうが、大人の我々は聞いただけで鳥肌が立ちそうだ。
因みに娘は巳年生まれではない。