私達夫婦には4人の娘がいる。
長女は札幌で放送局に勤めていて、番組の編集をしている。
7月まで長野に3年間居て、先月札幌に転勤になったばかりだ。
次女は京都で栄養士と製菓の学校に通い、今札幌に居る。
だから長女と次女の娘2人が偶然札幌に居るということになる。
三女は今大学生。同居していて、自宅から通学している。
四女は4月から看護師として広島の病院に勤めている。
名前はそれぞれ飛鳥(あすか)舞鳥(まいか)彩鳥(さやか)悠鳥(はるか)といい、
全員『鳥』という字が付いている。
将来結婚しても姓は変わるが名前は変わらないので『鳥』シリーズにしたという訳である。
この夏、次女が今度入籍する事になったので、谷口の姓であるうちに全員が集まろうという事になった。
その案が決まった時、何故そんなに姓にこだわるのだろうと思った。
というのも長男が結婚した際は、姓は谷口のままで、あまりピンとこなかったのである。
そんな大げさにしなくても…と思っていた。そうしてお盆前に全員が集まった。
美味しいご飯を食べたり、川南に咲いているヒマワリを見に行ったりと数日間楽しく過ごした。
北海道に帰る前の日、娘が婚姻届を机の上に置いた。
裏の面に保証人の名前が必要だから書いてくれというのだ。
息子の時も書いたはずだが、あまり記憶にない。
思えば、我々夫婦も昭和51年(1976)婚姻届を書いて出した。
当時、東京に住んでいたので、近くにある新宿区役所に行った。
あまり意識せずに提出したので、その時の事はあまり思い出せないが、
何となくこれで夫婦になったのだという気になったのはうっすらと覚えている。
しかし妻にとっては、複雑な思いだったに違いない。
何せ姓が変わる嬉しさと淋しさがあるからだ。
8月14日娘2人は札幌に戻った。8月15日入籍。
結婚式は2人の都合で挙げないという。
入籍には長女も立ち会い、それをメールで送って来た。
嬉しそうに婚姻届をかざして写っている。
それを見て、親としては何だか娘が遠い所へ行ってしまったような淋しさが込み上げてくる。
やはり娘を略奪された気になるのだ。
その時ふと思った。夫婦別姓制度をとなえる女性達がいる。
今までは私自身「結婚したら素直に相手の姓を名のればいいのに…」とか
「子供達が生まれたら一体どうするんだ…」とか「法律に楯ついて可愛げのない…」とか思っていたが、
自分の娘の姓が変わるという事になると、夫婦別姓でもいいのでは…と思ったりもする。
4人の娘全てがいずれ結婚する日が来るかもしれない。
姓はそれぞれ変わっても『飛鳥』『舞鳥』『彩鳥』『悠鳥』という名前は絶対変わらない。
今考えるとやはり自分の娘達に『鳥』シリーズの名前を付けておいて良かったとつくづく思う。
次女は数年後に、夫婦でケーキ&パン屋を北海道でオープンさせたいと今、一生懸命修行している。
頑張れ「舞鳥」、みんなで応援しているぞ!!