昔から寿司というのは、お化け屋敷みたいなもので、
入ってニコニコ、出る時は目玉(めんたま)が飛び出る位ビックリする所だ。
夏の肝だめしにはいいかもしれないが、中々入りづらいというのが現実。
そこで最近では若い人でも気楽に入れる回転寿司が人気だ。
 中に入るとカウンターが丸くなっていて、そこの上にベルトコンベアがあり、
そこを皿に乗った寿司がクルクルと回ってくる。
その中から自分が好きな皿を選べるようになっている。
値段は皿の色によって分かれていて、一皿2個乗って100~300円位だ。
目の前のものがどんなものか確認出来、値段もはっきりしていて、
しかも安いというのが人気の秘密である。
 10年位前に生まれて初めて行った。
入った感じは普通の食堂とあまり変わらない。
しかし座ったからといってお茶が出てくる訳でもない。
「メニューは何にしましょうか」と尋ねられる訳でもない。
目の前には醤油とお箸とお湯呑みしか置いていない。
それを自分で取りカウンター置く。お茶もティーパックになっていて、
目の前のボタンを押すとお湯が出てくるのだ。
 クルクル回ってくる寿司皿はまるで踊っているように目の前を通り過ぎる。
客が取るとすぐに補給される。
それもベルトコンベアから溢れ出さんばかりのお皿を置くので、
キュッ、キュッとお皿が音をたてながら通り過ぎる。
中には寿司だけでなく、フルーツやみつ豆、ケーキなども乗せられている。
 ベルトコンベアは左回りに回っている。
という事は、右側に座った方が作りたての寿司が食べられるという事になる。
そこで右側の方へ行ってみた。すると何という事だ。
一番右側と思っていた所は後ろに通路があり、まだ右側があったのだ。
もっと右側、右側へと行ったら、なんだ元の所に戻ってしまった。
しかも作られた寿司は空いているスペースに
次々に置かれるので、どこの場所でも平等という事になる。
 たまたま座った所の隣の席には皿を20皿以上も積み重ねている人がいる。
その人を見ると、私を一回り大きくしたような大男だ。
たぶん大食漢なのであろう。その時ふと思った。
私が食べた後、このお皿の横に置いとく。20皿以上置いてあるので、
2~3皿こそっと置いても分からないだろうというセコイ魂胆だ。
しかも敵もさるもの、皿をチラチラ見ながらパクパク食べ続けている。
 最近、回転寿司も様変わりした。
100円寿司と言われるような廉価で勝負するもの。
回転寿司だけでなく、注文すればその場で握ってくれるスタイル。
その他にも寿司屋のキャラクターグッズを販売したりしている。
また、回転寿司のレーンの上にもう一つレーンがあり、
そこには新幹線が走っており、その上に注文した寿司が乗って運ばれてくるものなど、
いろんなスタイルのものが登場している。
いわゆる回転寿司のショウ化だ。これを楽しみながら腹いっぱい食べる。
この回転寿司。外国にも進出しているそうだ。
これから益々回転寿司は進化していくに違いない。まさに目が回るような進歩だ。
回転寿司はちょっと一人で、あるいはカップルで親子連れでと気軽に入れるのがいい。
しかしちょっと寂しいのは、寿司を握る人との会話は
「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」しかないという事だ。
やはりたまには、勇気を出して目の前で握ってくれる寿司屋にも行ってみたい。