世界には500万種もの動物がいるという。
つまりそれは500万通りの生き方があるという事になる。
 先日『ライフ 命をつなぐ物語』という映画を見た。
BBC放送(イギリス)が35億円と6年という歳月をかけ、
3000時間にも及ぶ時間をかけ撮った映像を
90分にまとめたドキュメンタリー映画だ。
その中には色んな動物が出てくる。
 まず南極で子育てをするウェッデルアザラシから始まる。
親子のアザラシが何も周りにない大氷原の中にポツリといる。
というのはここの場所は他の動物に襲われる心配がないからだ。
その厚い氷に穴を開け、そこから親子で潜り、少ない餌を見つけるのだ。
 中央アメリカのコスタリカに住む、人の指先位のイチゴそっくりのイチゴヤドクガエル。
このカエルは、地上で自分が生んだオタマジャクシを天敵から守る為、
その我が子を背負い、10mもある木を一歩ずつ登って行く。
そして木の葉っぱの小さな水溜まりに、そのオタマジャクシを投げ込む。
それも自分の生んだオタマジャクシを何回も何回も木の上まで運ぶ。
そのオタマジャクシの餌は何と親ガエルの無精卵。
それをその水溜まりにポトリと落とす。
するとオタマジャクシ達はそれを食べ、少しずつ成長し、
やがてカエルになると下に降り生活をする。
 あるサルの仲間はヤシの実が大好物。ところがそれはとても硬く食べられない。
そこでその皮をむき、1週間位放っておく。すると少しシワシワになる。
それを岩の上に置き、20㎏以上もありそうな丸い石を振り下ろし割るのだ。
うまく割れるようになるまで8年はかかるという。
その大きな丸い石を振りかざす様はまさに迫力満点である。
宮崎の幸島のサル達も、芋を海水で洗って食べる習慣があるが、
サル知恵というものは大したものだ。
 高い岩山に住むヒゲワシは、他の動物が食べ終わった残骸に群がる。
もうすでに肉は食べ尽くされ骨だけなのだが、ヒゲワシには秘策がある。
その骨を空中高く持ち上げ、空中からそれを落とすのだ。
するとそれが岩に当たり砕ける。中にある骨髄液を食べる為だ。
ところが落としても必ず骨が割れる訳ではなく、何回も何回もトライする。
そうやってようやく食べ物にありつけるのだ。
 山岳に生息するコイシガエルというのも面白い習慣がある。
カエルなのにジャンプする事さえ出来ない。岩をヨロヨロと登る事しか出来ないのだ。
敵に出会えば一瞬にして食べられてしまう。ところがこのカエルにも特技がある。
敵に襲われると、そのまま身を丸くして岩山をボールみたいに転がっていくのである。
かなりの高さからかなりの早さで落ちるように転がっていくのだが、
ゴムみたいに弾力性がありケガをする事はない。
 ハキリアリは葉っぱを器用に喰いちぎり、それを巣穴に運んで行く。
その様子はとてもユーモラスだ。
それを食べる為ではなく、それを発酵させキノコを作る為だ。
地下には一千万匹のアリが生活をしているという。
キノコから発生する有害な二酸化炭素を放出させる為、
直径10㎝位の煙突代りの穴が沢山開いている。
そこで卵を産み子供を育てる。さしずめアリの巨大マンションというところであろうか。
 ハネジネズミという掌に乗る位の大きさのネズミは、
あらかじめ逃げ道を迷路のように作っておき、もし襲われたらその道を辿って逃げて行く。
バシリスクというトカゲの仲間は、
敵に追われると水の上を器用に両足の水かきを使って駆け抜けていく。
人間も100㎞以上で走れるなら可能な技という。
だがあの100mを10秒で走るボルトでさえ、時速にすると36㎞なのだから、
それは不可能な技だ。
 我々も毎日を必死で生きている。まず自分の身を守り、家族、子供の安全を守り、
子孫を残していく。他の動物と全く違うライフスタイルであるが、
やはり基本的には他の動物と変わらない。
500万種の全ての動物が同じような事を繰り返し生きている。
自分もその中の1人なのだと、この映画を見てつくづく思った。