私は小さい頃から寒がり屋だった。中学生の頃、下着のシャツを着ているとすぐ腰の部分が出る。シャツが短いのか、私の座高が高いのか分からぬが、床に落ちている物などを拾う時、腰の部分が出るのだ。するとその後必ず風邪を引く。どうも腰部を冷やすと風邪を引くらしいのだ。
 そこで、母に頼んでシャツの下の部分に、20cmくらいの布を縫い付けてもらった。それを着ると、まるでミニスカートを履いた様に見える。膝の部分までシャツの下端があり、当時流行したミニスカートそっくりなのだ。体育の時間などに着替えている際、それを見た友人が腹をかかえて笑う。鏡に映してみると確かにまるでチャップリンの映画に出てくるような姿で、友人が笑わない訳がない。それでも風邪を引くのが嫌なので、笑われようがバカにされようがそれをずっと続けた。
 医者になって若さを強調する為に、年中白衣を半袖にしていた。夏はその方が涼しいのでいいのだが、冬はさすがに寒い。そこでいつもカーデガンを羽織ていた。それも看護師が羽織っている様な白かダークブルーの色ではない。黄色、それもヤマブキ色なのだ。自分では何とも思わなかったのだが、回りがあまりにも色がおかしいと言うので結局止めてしまった。
 開業して毎年春になると桜見の会をしていた。仕事が終わり、暗くなってから夜桜を楽しむのだ。見るだけではつまらないので、バーベキューセットも一緒に持ち込み、飲めや、歌えの大騒ぎだ。最初の年はそんなに感じなかったのだが、2、3年後の花見はメチャクチャ寒かった。パッチを履いて行っても寒いのだ。結局その寒さが嫌で花見の会は3回位で終わってしまった。
 最近は暖冬で暖かくなっていると言うが、私は年々寒く感じている。4、5年前からは股引が無いと寒くてたまらない。しかし、それを履いていると何か本当にお年寄りという感じなので、どうかしようと思っていたら家内がいいものを見つけてくれた。
 それはパンスト式のストッキング。スパッツと言う物である。これはパッチと違い、よく伸びて違和感が無い。スポーツをしている時でも、履いている事を忘れるほどである。パンストと違う点はただ1つ。おしっこをする所の穴が付いていると言う事位だけである。
 昨年は近くの薬局で「足の冷えない不思議なくつ下」というものを見つけた。1足1000円以上もするのであるが、履くとポカポカする。フローリングなどを歩いても足先が冷たくならない優れものである。あまりの嬉しさに5足も買い求めた。
 それまでは普通の靴下を履いて寝ていたのだが、それでも指先が冷たい。これを履いて寝ると、足元がポカポカして気持ちよく眠れる。家内などは冷性であるのに、靴下なんかはいて寝るなんて気持ち悪いと履かないで眠ると言う。噂によるとほとんどの人が靴下など履かないで眠ると言うから、私はやはりかなり寒がりなのである。しかも電気毛布も必需品なので、家内には信じられない事らしい。
 昨年はその他、家内がマフラーのミニサイズ版を探して買って来てくれた。長さ50㎝位で、巾は5㎝位。首に1回巻けばOKと言うやつである。これはちょっと出かける時便利がいい。というのも、使わない時は上着のポケットに入るからかさばらないのである。
 今年の冬も色々なグッズを探してみた。折りたたみ式の耳当て、足首に当てるレッグウォーマー。しかし、今年の目玉商品それはネックウォーマーフリースと言う物。直径30㎝位の大きさで長さも30㎝位。腹巻みたいに筒状の形をしている。これを2つ折りにして帽子代わりにしたり、マフラー代わりにするのである。特にマフラー代わりにするとマフラーの何十倍も暖かい。どんな寒い日でもこれさえあればヘッチャラである。
 最近買おうかなと思っているのが超伝導体エレメント内蔵のほっかほか手袋。単3電池が左右3本ずつ入っていて、たった5分間で55℃まで上昇し、寒い日でも指先までポカポカというスグレ物である。だが1万円もする。今の所必要はなさそうだが、この寒がり方では来年は必須アイテムに入っているかもしれない。というのも世界的に温暖化というが、私の体は確実に寒冷化しているからだ。