先日、息子が「どうしてもうなぎが食べたい」と言う。「近くのスーパーでうなぎでも買って来たら?」と答えたら、「どうしても今日は美味しいのを食べたい」と言い張る。しかも西都の『入船』のうなぎが食べたいと言うのだ。

 ちょうど休日でもあり、とにかく出掛けることにした。西都もバイパスが出来て随分近くなった。春や秋には古墳のある公園にウォーキングによく出掛けるのであるが、入船のうなぎは20年前に行ったきりである。

 店の前を車で通ると駐車場はすでに一杯である。待合室も人がすでに一杯。近くの神社にも4~50人の人がまだかまだかと待っていた。待つのは覚悟のうえで行ったのだが、こんなに人がいるといつになるか分からないので、車から降りて店の人に尋ねてみた。すると2時間待ちだという。孫2人も一緒なのでとてもそんな長く待てそうにもないので、諦めて帰ることにした。

 蒲焼きの香りが辺りにたちこめている。あぁやっぱり食べたいなぁと思ったが、2時間はちょっと長すぎるので、近くのもう一軒のうなぎ屋に行く事にした。車を走らせること5分。ようやくその店を見つけた。駐車場には1台も車が停まっていないので「ラッキー」と言いながら駐車場に車を停めた。ふと入り口を見ると、そこには『本日休業』という札がぶら下がっていた。何だ。休みだから車が1台も停まっていないのだとブツブツ言いながら近くの最近出来たという『道の駅』に立ち寄った。

 そこではスイカ割りをやっていて、割れたスイカをみんなに振る舞っていたので、それをごちそうになった。佐土原ナス、枝豆、トマトなどが安かったので買い求め、もう今日は帰ろうとした。ところが又、息子は車を入船方面に走らせている。どこか近くの公園に寄るのかと思ったら、入船の駐車場に車を停めた。そしてちょっと様子を見てくると、車から降りて受付まで行った。するとすぐに戻って来て、待ち時間はあと30分位だという。

 先ほどより列も多くなっているのに、えらく待ち時間が短い。そこで息子に尋ねた。すると最初に来た時に予約をしたのだという。その番号は95番で今80番くらいまできたので、あと30分位待てば順番が回ってくるという訳だ。

 とりあえず車から降り、目の前にある神社で待つ事にした。しかし待っていてもなかなか順番が回って来ない。そこで持って来たボールでサッカーをしたり、写真を撮ったり、鬼ごっこをしたりして時間をつぶした。いよいよ90番台まできた。もうすぐだ。「95番、谷口様で6名様」と呼ばれた時は、宝くじにでも当たったような気持ちだった。中に入ると、沢山の人達が実に美味しそうにうなぎを食べている。何て言ったって、2時間くらいも待たされていたのだから、もうお腹がペコペコでお喋りもそこそこに必死だ。

 2階に案内され、うなぎを注文した。せっかく来たのだからと特上を頼み、家内と2人で一緒に食べる事にした。うなぎは肉厚があり、ホクホクしたうなぎだ。名物のご汁が付いている。これが豆腐が入っていて絶妙の味である。ご飯もボリュームがあり、家内と2人で食べたのにもかかわらずお腹一杯になった。

 「あぁ、満腹、満腹」と独り言を言いながら2階の窓から外を眺めると、まだまだ長蛇の列である。先ほどまで我々もまだかまだかと首を長くして待っていた。順番が呼ばれる度にもう少しだと思っていた。食べる前に見た風景と同じなのに気持ちが全然違う。人間というのは、お腹いっぱい食べてしまうと余裕が出てくる。

 会計を済ませ、並んでいる人に「もうちょっとで順番が来ますよ」と一声かけて外に出た。その時呼ばれた番号は130番台だった。それにしてもうまいうなぎであった。満足、満足!!