先日新聞の投稿記事にこういう苦情があった。電車に乗っていたら幼稚園生位の子供が母親と乗り込んできた。乗るや否やその子供が「ママ疲れたから座りたいよ」と大声を上げた。そうしたら目の前のお年寄りがすっと立ち上がって「ここにお座りなさい」と座席を譲ろうとした。母親が「ありがとう」と言うかと思い見ていると、お礼の一言も言わすに子供を座らせたそうだ。

 又、こういう新聞のコラムもあった。男の子二人が父親と一緒に電車の座席に座っていた。兄弟二人ふざけて席を離れてお菓子の投げ合いを始めた。そうするうちに駅について人が乗り込んできた。そうすると父親はすかさずこう言った。「ほら席を離れちゃだめじゃないか。誰かに座られたら席がなくなるぞ」目の前には風邪をひいたお年寄りがきつそうに立っていたというのに…。

 先日東京の山手線に乗った。そうするとお年寄りが乗ってきた。目の前に来られれば代わってあげようと構えた瞬間、隣に座っていた若い女性が「どうぞ」と声を掛けた。それを見ていてまだまだ世の中捨てたもんじゃないと思った。

 次の日山手線に乗るとやはりお年寄りが乗ってきた。ちょうど目の前にその人が立ったので「もうすぐ降りますのでどうぞ」と声をかけると嬉しそうに「有難うございました」と軽く会釈をされた。

 宮崎に帰りそんな情景を想い出しているともっと素敵な体験が新聞に載っていた。

新幹線が不通になり数時間後ようやく乗り込んだ「こだま」の車内は人で一杯になり、手摺にお尻をちょっと乗っけているとそこに坐っていた人が「どうぞおかけ下さい」と言った。「私は大丈夫」と断ったら「今日はみんな朝から新幹線が不通で疲れているのですから、どうぞ」としきりに勧める。

 そこでお言葉に甘えて坐ることにした。おかげで東京に着く頃には元気モリモリ出たという。

 そういう時、人間っていいなぁ~と妙に感動したりする。