15歳の時転校し、東京の高校に入学した。宮崎からの急な転校だったので戸惑ったことも多かった。しかし心配無用だった。人見知りの私にとって、意外にも友人がすぐ出来たのだった。その繋がりは音楽。当時ベンチャーズやタイガースなどのグループサウンド全盛時代。音楽が好きな私はすぐバンド仲間的な人が出来たのである。すぐギターを買い、お互いに練習し一緒によく歌っていた。だからしょっちゅうあっては一緒にギター片手に歌っていた。高校を卒業してもその縁は続き、もう50年以上にもなる。先日久しぶりにその仲間と同窓会をすることにした。行先は熱海。東京から約2時間で行ける温泉地である。

 その為に飛行機に乗らなければいけない。飛行機に乗るのは20年近く振りである。当時は旅行会社にチケットを予約しそれを取りに行く。そして失くさないように財布に入れ、搭乗する時に空港のカウンターで手続きをするのだ。しかし今は違う。娘が私のクレジットカードで予約してくれた。だから手元にはチケットはなく、何月何日の何時なのかは覚えておかなければならないのだ。出発当日、娘が心配して空港までついてきてくれた。まずクレジットカードを差し込む。すると不思議なことにチケットが出てくるのである。それからは昔と同じような流れで飛行機に乗ることが出来た。

 座った所がちょうど非常口の所で「万が一の時はご協力下さい」と書いてその手順が示してある。「フックを引っ張り、窓を外に押し出し外へ出て下さい」と書いてある。御協力下さいとCAの方からも頼まれたので、あめ玉一つでもプレゼントされるかと期待していたが何もなかった(当たり前の話だが…)。

 羽田空港に着いた。同級生が車で迎えてくれているというのでその出口まで向かったが、その道の長いこと長いこと。ようやく出口に到着。友人たちの顔が見えてほっとした。土曜日なので非常に混んでいて、何千台も停められる駐車場が満車で停めるのに苦労したという。やはり宮崎とは人の数が違うのだ。高速で

一路熱海へ。早速熱海の海の幸を食べることにした。近くの居酒屋に入り色々注文した。食べてみたかったものは何と言っても金目鯛の煮つけ。熱海の金目鯛は有名なのである。立派なのが出てきた。久しぶりにたくさん飲んだので次の日は二日酔い。それから箱根温泉の天山という露天風呂入った。気持ち良かった。休日で高速も混んでいるかもしれないと早めに出発。びっくりしたのは、道はたいして混んでいないのにサービスエリアのパーキングが混んでいて停める所がない。トイレ休憩も出来ない有様である。だからみんな車の中で用を足せる道具を車の中に用意しているという。

 東京には10年以上住んでいたのに、50年前とは全く違っている。まるで浦島太郎になった気分で帰りの飛行機に乗った。