生駒高原のコスモス園のすぐ横にリンゴ農園がある。気にはなっていたのだが、一度も立ち寄ったことがない。今回は家族連れだったので、どんな所なのか行ってみることにした。
入口で入園料1人400円を支払い、中に入ると500本ものリンゴの木が植えられ、『秋映』『涼香の季節』『陽光』『ぐんま名月』など初めて聞く名前のリンゴが生っていた。そのうちの自分の好きなリンゴをもぎ取ってカゴに入れ、その重さで料金を払うシステムである。自分で採った1個だけは無料になっている。つまり400円支払えばリンゴ1個はゲット出来るのである。
園の中に入ってびっくりした。生まれたばかりの赤ちゃんの頭の大きさ位もある大きな立派なリンゴが枝にぶら下がっている。青空の中にぶら下がっている赤い玉、そのコントラストは実に見事である。思わずシャッターを切った。
梨や葡萄と違って、腰を曲げないで採る必要がないので、採るのは楽だ。だからつい多く採ってしまう。それにしてもこの南国にリンゴ園とは不思議に思う。元々リンゴは寒い国で育てられるもので、こんな温暖な宮崎で育つなんて誰も思わないだろう。それは北国でバナナを育てるようなものだ。ここ生駒高原は高地にあるのでそれも可能なのであろう。それにしても、南国の宮崎でリンゴが生っている光景を見ると、何か摩訶不思議な世界に入り込んだ気になる。
実は私の家内の実家はリンゴ農家であった。リンゴを作る作業は、冬は枝の“整枝剪定”から始まり、春は”実すぐり”という実の間引き、夏は“袋掛け”。秋の収穫前には”玉まわし”、リンゴを半回転し太陽が万遍なく当たるようにする。そして収穫となる。つまり一年中付きっきりなのだ。片時も目は離せない。台風が来れば一晩にして丹精込めたリンゴはその風に耐え切れず落果する。そうするともう全く値打ちがなくなる。つまり手塩にかけても台風が来ると、一瞬でパーになるのである。その悲しみはリンゴを作っている人にしか分からないだろう。しかし無事育って青空に赤く浮かんでいるリンゴを見ると、ホッとして丹精込めて作って良かったと思うそうだ。
何気なくスーパーなどで並んでいるリンゴ一つ一つにも、そのリンゴリンゴのストーリーが潜んでいる。食べるお客様にもそう思いながら食べて欲しいとリンゴ農家は思っているのだ。
そのリンゴ園も義父が亡くなり、後継ぎの弟が33歳で急死し、今は他人が管理している。
我が家では毎年お歳暮に実家の秋田からリンゴを取り寄せる。親戚が丹精込めたリンゴ達である。それは本当に採れたての香りをプンプンさせてやってくる。味も濃厚でリンゴ好きな人にはたまらないらしく、毎年楽しみにして下さる。有難いことだ。
宮崎のリンゴ園を見て、秋田のリンゴ園で義父と義弟が働いている姿を想い出して涙が止まらなくなった。これからも南国宮崎で美味しいリンゴを作って下さい。お願いします。
P.S. 因みにそのリンゴ園は宮崎県小林市生駒にある『生駒高原リンゴ園』
TEL(0984)27-1054です。是非一度立ち寄ってみて下さい。