昨年孫娘が1年生になる時、ランドセルを買った。一昔前まで男の子は黒、女の子は赤とほぼ100%決まっていた。しかし最近ではその他にもピンク・ブルー・ブラウン・イエロー・グリーン・などのランドセルを背負っている小学生をよく見るようになった。それでも黒、赤の子どもも半分位はいる。

 孫も何色にするか悩んだ。昔の常識だったら赤かピンクを選ぶのかもしれない。何せ女の子だ。女の子らしい色を選ぶだろうと考えていた。本人に尋ねると即座に「黒」と答えた。「女の子なのに黒なの?」と私も家内も同じ声を発していた。まさか黒と答えるとは思っていなかった。

 そしていよいよ入学前にランドセルが届いた。それを背負う前には「大丈夫かな?黒で」と思っていたのだが、少しブルーの色が入っていて中々似合う。今やジェンダーレスやダイバシティ(多様性)の時代だ。男だから黒、女だから赤という方が古い人間なのだろう。

 さて以前はランドセルを検討し始める時期は前年の夏頃が多かったのだが、最近では入学1年前位からが多いという。中には前年の春頃に注文する人もいるというから気が早い。そしてそのお金を払うのはおじーちゃん、おばーちゃんが一番多いという。それがせめてもの孫孝行と考えているのだろう。因みに現在ランドセルの購入平均価格は5万5000円だという。

 ランドセルが最初に登場したのは1887年(明治20年)。伊藤博文元首相が当時軍人が背負っていた軍隊用背のうを参考にして作ったと言われている。実際に使われたのは戦後暫くしてからだ。製作されているランドセルの大きさは定められており、内寸縦31.0cm、横23.3cm以下、重さは1000g~1600g程度と決められている。ランドセルのそのものだけでも結構重さがある。

 最近ランドセルが重すぎると問題になっている。例えば小学1年~3年生の中身の入ったランドセルの重量は約4kg。それはその年齢の平均体重からすると重過ぎるという。せめて体重の10%以内が望ましい。殆どがそれ以上あるケースが多いので、3人に1人が腰、背中、肩などの痛みを訴えるそうだ。それはまるでお年寄りと同じだ。

 それでは何故そんなに重いのか?それはまず教科書のページ数が以前に比べ増えていることだ。15年前と比べるとページ数が7割も増えているので重くなるのは当たり前だ。その上コロナの影響でタブレットが支給され、又コロナ感染予防の為、水筒持参させられる小学校も増えているという。ランドセル以外の荷物も負担になっているのだ。

 ところでそもそもランドセルは学校指定品ではないので、必ずしもランドセルを背負って小学校に行かなくても良いことは意外と知られていない。それ以外のバッグやナップサックでもOKなのだ。京都などの一部の小学校ではランドセルではなく『ランリック』というリュックが使われている。価格は1万円前後、重さは670g~760g位。小樽市では『ナップランド』というカバンを持って通学している。価格は7700円。重さ約770gこういうもので代用すれば持って行く荷物を軽くすることが出来るかもしれない。

 しかし今の日本では、ランドセルを背負って小学校に行くスタイルは変わらないことだろう。やはりランドセルは小学生のシンボルなのだから…。