先日生まれて初めて賞を頂きました。宮崎芸術文化賞という宮崎の芸術に貢献した人に贈られる賞です。
受賞した理由はみやざきエッセイストクラブ会長を10年勤めたこと。いろんな本(自費出版15冊、みやざきエッセイストクラブエッセイ集24冊)を出版したこと。MRTラジオで「みえ子とジローのあったかトーク」という番組のMCを10年間勤めたということ。生まれたばかりの赤ちゃんの写真展を行ったことなどが評価されたらしいからです。
受賞の通知を受けた時はまさに青天の霹靂という気持ちでした。受賞したのは嬉しいのですが、県知事も来られるのということで、どんな服装で行くか迷いました。上下ピシっとスーツで決めていくべきでしょうが一着もそういうものを持っていないのです。この受賞の為にスーツを新調しても良いのですが、急な知らせだったので間に合いそうにありません。
そこで20年前に作ったスーツをタンスの奥から引っ張り出して着てみました。ところがです。その時から身長は伸びていないのに、体重が10kgも増えているので全く入りません。さてどうするか悩みました。そして決めました。芸術の賞なので、何もあらたまった服で行くことはないというという結論に達しましたのです。家内は「そんな格好で大丈夫?」と心配しましたが、まあそれも私の個性ということでブラックデニムにセーターといういでたちで行くことにしました。
会場に到着すると正装の方々ばかりです。えらい恰好で来てしまったなと後悔しました。しかし今から帰って着替えることなんて出来ません。腹を括りました。
いよいよ授賞式が始まり、表彰状を受け取りスピーチをしなくてはなりません。そこで次のようなスピーチをしました。
「本日は名誉ある賞を戴き有難うございました。私は宮崎市内で開業している産婦人科医です。エッセイを書き始めて30年以上になりました。その間に15冊の本を出しましたが全く売れませんでした。今でも倉庫に山積みになっております。このような格式ある会にお招きして頂き本当に光栄です。さてこのような素晴らしいパーティーに何を着ていけば良いのか分からないので、今日はユニクロファッションにしました、今着ているのは全てユニクロで買ったもので、トータル1万円もしません」というと笑いが起こりました。
その後のパティーで「とてもユニクロがお似合いですね」「身長があるからユニクロ着ても映えますね」。「ユニクロってそんなに素敵なものも売っているのね」。と色んな人から声をかけてもらいました。
そう、今日は県芸術文化賞の授賞式で来たのではなく、「まるでユニクロのセールスマンで来たみたい」と皆から言われました。それで良いのです。私のポリシーが皆に伝わってとても楽しい授賞式でした。