普段あまりラジオを聴かない方だが、毎週土曜日夕方4時からの「ユアヒットパレード・リターンズ!」は必ず聴くことにしている。この番組はオールディーズと言われる、いわゆる1960年代から80年代の懐かしい曲をかけてくれる音楽番組なのだ。
ナレーターは上岡信夫さん。MRTのベテランアナウンサーである。喋り方に味があり又声の質も良く話の内容も良い、3拍子揃ったアナウンサーだ。約60分の間に15曲前後の曲をかける。それはどれも懐かしい曲ばかりである。
「歌は世につれ、世は歌につれ」といわれるが、確かにその時聴いていた曲がかかると、その時にタイムスリップしてしまう。若かった頃は色々悩みも多いが。今の老いた自分と比べると何と良かった時代だったんだろうと思う。夢があり、何でも出来る時代だったのだ。
懐かしい曲の中でも一番カルチャーショックを受けたのは“Beatles”。デビューが1962年。私が中学2年の時だった。今までと全く違った曲作り。テンポのよいリズム。全てが私を引きつけた。私だけでなくあっという間に世界中の音楽ファンを熱狂させたのだ。
その他にも当時は映画音楽というのがヒットパレードに数多く登場した。「太陽がいっぱい」「ムーンリバー」「第三の男」「死刑台のエレベーター」「地下室のメロディー」「ロシアより愛を込めて」「エデンの東」「卒業」「俺達に明日はない」など数えられない位のヒット曲が生まれた。
それと私の音楽原点ボサノバが登場した。アストラット・ジルベルトの「イパネマの娘」を初めて聞いた時は鳥肌がたった。こんな、気持ちをリラックスさせる曲がこの世にあるのだということを初めて知った。最近でも聞いている曲は一日中ボサノバである。有線、YouTubeでも全てボサノバチャンネル。レンタルCDも全てボサノバである。
さてこの番組の特徴は曲をかけるだけでなくリスナーの便りを読むことである。リスナーの方は、やはり60代、70代の方が多く、その曲とのエピソードなどが語られることなどが多い。その便りを聞いていると「そうだ、そうだ、そうだった」といつも懐かしく思う。
私も毎回一言を添えてリクエストをする。その曲の想い出やその時代に経験したことなど、書き始めると筆が止まらない。実に青春時代というものは鮮明に憶えているものだ。昨日のことはすっかり忘れているのにその時代の記憶は不滅なのだ。リスナーの方々も皆その時代に悩みを抱えながら未来へ向かって生きていたのだ。
考えてみれば、50年も前は本当に日本もまだ貧しい時代だったのだ。当時電車は全て蒸気機関車。石炭をくべて走るのであるが、煙突から出る煙が車内に入り込み、体中煤だらけになっていた。道路は砂利道で埃が凄く、店も6時には閉めていた。それが当時当たり前だと思っていたのだ。今みたいにコンビニ、スマホ、ITの時代ではなかったのだ。
ただ貧しさの中にも心の豊さはあった時代だった。そんな時代をノスタルジックに思い出させるこの番組が大好きだ。いつまでも続いてほしい私一押しの番組である。