先日、買い物をした時の話である。レジに並んでいると、前にいた女性が会計をしていた。その女性がお金を払おうとすると店員が「ポイントカードはお持ちですか?」と尋ねた。女性は「忘れたので、後でポイントを付けていただけますか」と言った。すると店員「お客様申し訳ございません。あと付けは出来ないことになっております。宜しいでしょうか?」と答えた。女性はえっ、せっかくこんなに沢山買ったのに、ポイントつけてもらえないの!あと付けなんて簡単に出来るはずなのに・・・というような表情をしてお金を支払っていた。
帰って家内にその話をすると、「そりゃそうよ。何百円だったらまぁ仕方ないでしょうけど、何千円も買い物したら悔しいと思うのは当たり前よ。もし私だったらあと付けしてくれないのなら、わざわざ一度家までポイントカードを取りに帰るかもしれないわ」。女性ってみんなそんなふうに思うのかもしれないと思い、ちょっとカルチャーショックを受けた。
私もよく買い物をする。カードを持つのはあまり好きではないが、家電とショッピングモールのキャッシュカード付きのカードを2枚、その他レンタルビデオ屋、スーパー、ホームセンターのポイントカードを3枚持っている。買い物の時は必ず持参するが、時々忘れることがある。その時はあと付けをしてもらっている。1ヵ月以内であれば、ポイントをあと付けする事が出来る。仮のポイントカードはレシート状になっていて、後日それを持っていくとあと付けしてくれるのである。
先日それがいくら貯まっているかレシートを確認した。2801ポイント入っていた。1ポイント1円だから2801円の買い物をする事が出来る。1年間で週1回のペースで来ている割には買ったほどの金額になっていないので、ちょっとがっかりだ。
あるスーパーのポイントカードはちょっと変わっている。買い物をするとポイントが付くのは同じなのだが、4万円買い物するとポイントが一杯になり、1000円キャッシュバックしてくれるのである。いつもそのポイントを確認しているわけではないので、突然レジで「ポイントが貯まりましたので千円お返しします」と言われるとすごく嬉しい。それは愛読書のページの間なんかにちょっとしたヘソクリを挟み忘れていて、ふと本からパラリとお札が落ちるのと同じ気分である。
女性は男性に比べるとポイントカードを持っている人が多く、うちの家内にどんなのを持っているか尋ねてみた。すると分厚い財布を出してきたので、大金が入っているのかと固唾を飲み見ていると、その中身はほとんどポイントカードで、出るわ出るわ・・・。クリーニング屋、薬局、パン屋、靴屋、服屋、宅配ピザ屋、雑貨屋、レンタルビデオ屋、コーヒー屋、タクシー、美容室、おもちゃ屋、ケーキ屋のは3枚もあり全部で20枚以上も入っている。どうりでポッチャリした財布になるはずだ。
『チリも積もれば山になる』という。ポイントカードはまさにその通りのシステムだ。しかしそれに全部スタンプを押してもらって使うかというと、多分実際はそうはいかないだろう。と言うのも、ポイントカードを持っているからといって、そう頻繁に行ける訳がないからである。しかしやはり人間心理として1円でも得をしたいという気持ちが心の中にある。
私の机の中には何枚もポイントカードがある。しばらくぶりに先日それを見ていたら、今はもうない店も多い事に気づいた。ポイントをいくら貯めても、店がないのではどうしようもない。その店によく通ってた頃のことを思い出し、顔なじみの店員の事を思い出し、今頃どうしているのだろうと思ったりした。その店の前を通ると、空き地になっていたり、新しい店が出来ていたりするのである。そういう事を懐かしくと思いながら、不要のポイントカードをゴミ箱に捨てた。たかがポイントカード、されどポイントカード。ポイントカード悲喜こもごも感じた一日であった。