私は生来ケチなせいか、出てきた食べ物は残さず食べるようにしている。だから、ホテルのパーティーや、居酒屋で食事をした後に大量の食べ残しが出るのを見ると、何だかとてももったいないと思う。一度あまりにももったいないのでホテルの係りの人に「残りの食べ物を少し持って帰っていいですか?」と尋ねたことがある。すると「それは駄目です」と強い口調で言われた。「何故?」と質問すると持ち帰った食べ物をすぐ食べてくれればいいが、2~3日おいて食べ、食中毒なんかが起きてしまうと、すぐホテルが営業停止になると言うのだ。確かに持って帰った人が責任を持って食べてくれればいいが、1~2週間経った物を食べて食中毒になり、ホテルを訴えるという事も考えられるもので、もっともの事だ。

 当院が毎年、忘年会で利用する居酒屋がある。サービスがよく、安くて、ボリューム満点の料理が出てくる。その量にいつも圧倒されるのだが、行く時に病院から大きな密閉容器を3~4個持参する事にしている。それを例えば『刺身類』『鶏肉類』『鍋類』『その他』と分け、残った物をそれに詰めて持って帰るのだ。もちろん味が美味しいというのも毎年この店を利用する理由だが、持って帰る事が出来るというのもこの店を利用する理由の1つだ。

 最近『ドギーバッグ』というのをデパートで売っているとのニュースを新聞記事で見つけた。ドギーとは子犬を指す英語で、そのまま訳すと『子犬用の入れ物』とでもいうのであろうか。それは20cm四方の大きさで、ビニール製の手提げ袋で、料理を中に入れそのまま持ち帰る事が出来る。

 米国などでは、残った料理を持ち帰る習慣があり、海外生活の経験がある人などから「何故、日本にはお持ち帰りのバッグがないのか」という声を受けて商品化を企画したそうだ。日本でも紙袋やプラスチック容器などに残った食べ物を入れてもらい持ち帰る事があるが、それを見た人から「格好が悪い」とか「ケチな人」と思われたくないので、持ち帰りする人は少ない。又料理を残すのが美徳、格好いいなどとんでもない考え方をする人もいて、コソコソと持ち帰ることになる。

 実際、東京にある沖縄料理店では食べ残しを持ち帰る客に、ドギーバッグを提供している。各テーブルには『当店ではドギーバッグ推奨店です』というプレートが置いてあるという。それを使う客には『持ち帰った食品はその日のうちに食べて下さい』とお願いするそうだ。

 これを製作している会社は、ゆくゆくはスーパーなどの惣菜コーナーでもこのドギーバッグを持参してもらい、それに入れて持ち帰ってもらえれば、家庭ゴミも減るのではないかと考えているという。

 報道によると、日本では食べ残しを含めた食品廃棄物は何と1900万トンもあると言われている。まさに『消費は美徳、余った物は捨てる』という考え方である。食料自給率40%の日本にそんな事をしている余裕はない。

 是非ともホテルや居酒屋などでも、このドギーバッグを備えて欲しい。このドギーバッグに入れて持って帰ったものに関しては、各個人が責任を持って食べる事はもちろん、万が一食中毒が起きた場合、クレームは一切受け付けないというような法の整備も必要だ。

 今、マイ箸ブームになっている。先日、中島美嘉さんのコンサートに行ったが、最後にマイ箸の事について熱く語ってくれた。スターがそうする事によって、マイ箸ブームになった。最近ではスーパーのレジ袋も有料になったりして、マイバッグを持参する人も増えているという。又、ふろしきを持ち歩く若者も増え、ブームだという。それ位、エコに対して関心が高いのだ。このエコブームの高まりを、是非ドギーバッグを使うことにより、より一層高めて欲しいと思う。