梅雨に入りジトジトした天気が続く。殆どの人が「梅雨は嫌い」というだろう。しかし農家にとっては恵みの雨。この時期が来ないと何も出来ないのだ。

 さて朝起きると、テレビの天気予報を必ずチェックする。しかし天気予報の放送時間は、だいたい時報の5分前位で、それを見逃すと1時間も待たなくてはならない。そんな時、欠かせないのがケーブルテレビの53という天気予報専門チャンネルだ。

 このチャンネルは24時間天気予報をやっている。今日の天気は勿論、日の出・日の入り、満潮・干潮、洗濯情報、傘指数、紫外線情報、今日の気温、風向き、波の高さなども分かる。その他にもゴルフ場の天気、海釣り情報、リゾート情報、ハイウェイ情報など情報満載だ。

 中でも一番便利なのは、各地域の天気予報を3時間ごとに教えてくれる事である。それを見ていると、今天気が良くても数時間後には雨が降るなどという情報が分かるのである。出かける時に傘が必要かどうかがはっきり分かるのだ。

 何故、朝起きたらすぐ天気予報を見るのか。それはまず、愛犬『ロキ』との朝の散歩の時、雨が降るかを知りたいからである。カンカン照りの時は日傘、小雨の時は帽子、今は小雨だけど時々ザーッと降りそうな時はカッパをと、天気によって用意する物が異なるのである。

 次に、天気予報によって病院の今日の外来はどうなるかという予想をするのである。例えば雨が何日も降り続いた後、久しぶりに晴れると外来の患者数は少ない。天気が良いのに何故?と思ってしまうが、おそらく主婦の方は一生懸命洗濯をしているに違いない。雨続きでは、主婦の方は洗濯物が溜まっていることだろう。だから陽が差し始めたと同時に洗濯に追われて忙しいのだろうと想像している。それとは逆に、雨がザーザー降って天気が悪い時は外来は混み合う。それは洗濯も出来ないので、その間を利用して産院通いをするのだろう。まさに天気とにらめっこである。

 しかし最近は天気が読めない時が増えてきた。天気予報が当たらないということではない。突然の大雨になったりするのだ。いわゆる『ゲリラ豪雨』と呼ばれるものだ。家内に「今日は雨なんか降らないので洗濯日和らしいよ」と天気予報通り教えたところ、家内が買い物に行っている間に大雨になることがある。すると家内から「洗濯物干しっぱなしにしてあるから、あなた取り込んでおいてね」という電話がかかってくる。ほんの少しタイミングが遅いと、もうすでにザーザー降りになって洗濯物がビチョビチョになっていることもある。そんな時は「もう、あなたの言った天気予報全く当てにならないわね」なんて嫌味を言われる事もある。

又逆に、「もの凄い土砂降りだから、すぐ洗濯物を取り込んでね」と電話があり、慌ててベランダに行ったが全く降っていないなんてこともあった。電話している所は家から10km程しか離れていないのに、車のワイパーをいくら早く動かしても全く前が見えない位凄い大雨だったというのだ。家内は濡れていない洗濯物を見て、キツネにつままれたような表情をしていた。こんな局地的な大雨には、さすがの天気予報も太刀打ち出来ないようだ。

 さて、この53チャンネルには他の楽しみもある。天気予報の字幕と共に、1日中音楽が流れているのだ。しかもそれが私の一番好きなボサノヴァ。新聞を読む時も、本を読む時も、エッセイを書く時もこのチャンネルの音楽を聴きながらである。うちの家内には次のように言ってある。『私の葬式の時は、53チャンネルをBGMで使うように…』。そうすれば、きっと私の希望している楽しい葬式になることは間違いない。それにしても早く梅雨が明けて欲しい。