今年の夏は異常に暑い。熊谷では41.1℃という日本で今まで一番暑い日になった。40℃を超える所は日本各地に出現し、40℃如きでは驚かなくなった。人間の体温が37℃前後なので、それより3℃も高いということになる。少しの時間であれば何ということはないのだろうが、それが長時間になれば耐えられないだろう。それを暑く感じないのはクーラーがあるからだ。クーラーがなければ確実に干からびてしまう。
私は暑がりで一日に何回も下着を替える。朝仕事場に行って1時間もすると、下着がビショビショになるのである。だからまず10時位に着替え、次は食事前の午後1時位、それから夕方4時位である。着替える私の方は良いのだが、それを洗う家内の苦労は大変だろう。何せ一日5枚ずつは着替えるのだから。そういうことでタンスの中にはいつも30枚位は下着が入っている。
そんな汗かきの私だが、クーラーは大の苦手である。仕事場でも私の座る場所だけはクーラーは付けず、扇風機である。回りからの冷気が流れてきて丁度良いのであるが、それでも時々は寒すぎて建物の外に出る。そこでミーアキャットみたいに手を上げて日なたぼっこするのである。
外が35℃あってもその儀式は必要で、1時間に1回はそうしている。それを見た人は「暑くないですか?そんなところに居て!」と言うがとても気持ち良いのである。それはまるで冬の寒い日の日光浴と同じである。スタッフはクーラーが入っていても暑い暑いの連発である。
さすがに寝る時はクーラーを入れるが、設定温度は29℃である。それでちょうど良いのだが、時々寒さで目が覚める時があり、その時は30℃にセッティングする。それ位で丁度良いのである。そんな状態なので、お年寄りがクーラーをつけないという理由がよく分かる。最初はクーラーの電気代が勿体ないからだと思っていたが、そういう理由だけではなく、やっぱり寒くて眠れないかららしい。
先日も90歳位の夫婦が寝室で、熱中症で亡くなっているのが発見されたというニュースをやっていた。その家ではクーラーはついていなかったという。今までだったら、クーラーをつけないからそうなったのだと思っていたが、何となくその老夫婦の気持ちは分かる様な気がする。しかし残念ながらその夫婦の想像を超えた暑さだったのだろう。
東京などの大都会はヒートアイランド現象が問題になっている。田舎と違い道路は全てアスファルト。建物はコンクリート。川は地下に埋められ、まさに熱を逃がす所がない。だから夏に東京に行くと街を歩くのが大変である。道路からの照り返しが50℃位あるのだから、それは人間の限界を超えているのだ。
しかし人間にはそれから逃げる方法がある。それがクーラーという文明の利器である。ビルに入れば嫌というほどクーラーが効いている。電車に乗れば寒い位の時もある。そういう奥の手があるので人間は生きてられるのだ。しかしその為に大量の熱が室外機から放出され、それが又ヒートアイランドの原因にもなっている。つまり大都会では砂漠の上にいるのと同じなのだ。
年を重ねると色々好みも変わるものである。油っこいものからあっさりしたもの、派手な服より地味な服などは思い当たるが、クーラーのことは考えたこともなかった。最近はスカーフとホッカイロが夏でも手放せない。何とも情けないおじさんになってしまったのだ。