今年も12月。
クリスマスプレゼントを考えなくてはならない季節になった。
私には子供が5人いるので、
毎年1人1人にクリスマスプレゼントを考えるのも大変だった。
それも1人ずつ欲しい物が違うので、なおさらだ。
 末娘が小学校6年になった時の事だ。
もう上の子供達4人はサンタクロースの存在は信じていないのだが、
末娘は6年生になってもまだサンタはいると信じていた。
 末娘は、オモチャには見向きもせず、
毎年クリスマスになると、蛇が欲しいと言う。
最初はぬいぐるみでごまかしていたが、
そのうち本物がどうしても欲しいと言い出した。
というのも、蛇をマフラーみたいに首に巻いて寝てみたいというのだ。
 ペットショップで相談したら、
あまり大きいものは世話が大変だという事で、
5000円の30㎝位の白蛇にした。
それをクリスマスイブの晩、枕元に置いていたら大喜びだ。
それからはトイレに行く時も、お風呂に入る時も、
食事の時も側に置いて離さない。
 次の年もまた同じく蛇。
さすがに家内も他の兄弟も、これ以上蛇が増えては困るので、
今年こそはサンタが居ないという事を伝えようと話し合った。
もちろん子供達の中には可哀想だという意見もあったのだが、
これ以上蛇は御免だという事になった。
 その際、上の子供達に「サンタさんを信じなくなったのはいつ頃?」
と尋ねてみると、小学校低学年の時だと言う。
いたずらをしたので、罰として車の中に閉じ込めたのだが、
その時に車の中に隠してあったクリスマスプレゼントを見つけて、
それからサンタは信じなくなったそうだ。
だが親からのプレゼントを断るのも忍びなく、もらっていたのだという。
という事は末娘も、もうサンタは信じてないのに、
信じてるフリをしてプレゼントをもらっているのではないかという結論になった。
そこで末娘を呼んで家内が説明し、
その年のクリスマスプレゼントは普通のオモチャになったのである。
 これで一安心と寝床に入り、翌朝目覚めると、枕元に何か置いてある。
それは小さな子供が持っている様な、丸く青いポーチだ。
それを開けてみると手紙が入っていた。
それは子供達からの、生まれて初めての私へのクリスマスプレゼントだった。
封を切り、中を開けて見ると、そこにはカードが入っていた。
『ハッピーメリークリスマス。開けてのお楽しみ…。/
メリークリスマス。体に気を付けて下さいね。/
メリークリスマス。やっと20歳になりました。今までありがとう&これからもよろしゅう。/
僕達のエネルギーの源を稼いでくれてサンキュ。
子供が5人もいると、結構大変かも。でも体に気を付けて。
これからも不景気に負けないで働いて下さい。メリークリスマス』。
それは子供5人からのメッセージの入ったクリスマスカードだったのだ。
 そのポーチのチャックを開き、ひっくり返すと、
何とドラえもんの人形に変身した。
なんだかんだと喧嘩ばかりしている子供達で、
まだまだ子供だと思っていたが、こんなに成長しているとは思わなかった。
 そのドラえもんは、大切に大切に居間に置いてあり、
今日も私を優しく見守ってくれている。