夜になるとネオン街に灯りがともり、どこからともなく人が集まって来る。
最近では朝5時位まで営業している店も多い。
夜に千鳥足で歩いていたり、カップルが仲良さそうに楽しそうにしている風景をよく見掛ける。
そこには人々の息抜きの世界が広がり、人々が楽しい時を過ごしている。
ところが、朝になり明るくなり始めると人っ子一人いなくなり、その代わりに現れるのがカラスだ。
今の季節は5時位から少し明るくなる。ほんの少し明るくなる頃からカラスの活動が始まる。
それから30分もすると数えきれないほどのカラスが集まる。
私の住んでいる所は『ニシタチ』と呼ばれる宮崎一の歓楽街だ。
数千軒の飲食店が軒を並べ、夜になると沢山の人がそういう店に集まり飲んだり食べたりして楽しむ。
年末などは、東京の歌舞伎町より人が多いのではないかと思う位の人通りだ。
それだけに沢山のゴミが出る。缶や瓶などに混ざって、生ゴミも出される。
カラス達はそれを空の上からすごい視力で探し出し、口ばしでつついてゴミ袋を破り、
食べ残しをくわえては飛び去る。その風景はまるでヒッチコックの映画『鳥』そのもので、
恐怖を感じる。とにかくものすごい数なのである。
頭のいいカラスは追い払ってもすぐに戻って来て、生ごみをあさる。
そしてそれが道路一面に散らかるのである。その風景は凄まじいの一言だ。
朝、生ゴミの中には残飯に混じって、使われなかった食材や賞味期限の切れた
全く新品のハムやチーズなども混ざっている。
それを片付ける清掃車がやって来るのは、朝7時頃である。我々にとっては早い時間なのであるが、
カラスにとっては食べ放題を2時間もした後なので、パーティーで言うとお開きの時間である。
それでも少しでもお腹を満たしたいカラス達は、清掃車が来てもお構いなくそのおこぼれを食べ続ける。
よく見ていると、餌を見つけそれをくわえるとそこから飛び上がり、ビルの屋上に着地する。
そこでゆっくり独り占めして食べるのである。
時々それを見たカラスがおこぼれにあずかろうと、横取りをしようとして喧嘩になる。その鳴き声は凄まじい。
朝早く起きているのは年のせいもあるが、このカラスの鳴き声で目が覚めるのも原因である。
遠くで鳴くのは気にならないが、枕元にあるビルに飛んで来て鳴くとさすがに目を覚まさざるを得ない。
今の季節、カラスで気を付けないといけない事がある。
それはカラスの巣に近付いたりすると攻撃をしかけてくる事である。
それも突然、後ろから飛んで来て頭を狙って来るから始末に負えない。
中には人間を狙って糞攻撃をして来る事もある。
私も一度その目に合って、額が冷たいなと触ったらカラスの糞であった。
先日は洗車をした次の日、ボンネットにピチャッと糞攻撃を受けた。そしてこれが拭いても中々取れないのだ。
せっかく洗車したのに…と思うとショックである。
100円ショップで、カラスの死骸に似せたビニール人形を買って来てぶら下げたりもしたが、効果はないようだ。
カラスを減らすには、まず我々が生ゴミをなるべく出さない努力をする事だ。
どうしても出す時は、ポリバケツなどに入れ、きちんと蓋をするか、中身が見えないような入れ物に入れるかする。
あるいは黄色いゴミ袋(実際販売している)に入れて出すと効果があるという。
カラスは食物の匂いではなく、目で見分ける。
黄色い色は、カラスの視界を妨げる唯一の色なので、カラスにとって中身が見えないのだという。
このカラスの大群をなんとかして欲しい。ぐっすりと安眠したい。カラス君、お願いしますよ。