「先生はカラオケ好きですか?」とよく尋ねられる。そんな時は「そうですね、好きでもあるし嫌いでもあります」と答える。「それどういう事?」とさらに問われたら、「え~と、本当は生オケ(実際に楽器を演奏するバックオーケストラ)で歌いたいネ、それが出来なかったら、自分でピアノやギターを弾いて、いわゆる弾き語りの方が良いね~」そう、基本的には生の音源で歌いたいのだ。
でもカラオケが好きな理由。それはやはりエコーの効いたマイクで、歌手みたいに歌ってみたいという欲望があるからである。カラオケであれば、キーは自由に変えられるし、歌詞も画面にタイミングよく出て来る。そう、至れり尽くせりなのだ。しかもうろ憶えの曲でもメロディーが付いているので、何とか歌うことが出来る。
「レパートリーはどんな曲ですか?」と尋ねられると、まず井上陽水、安全地帯、尾崎豊、BIGIN、昔のフォークソング、アチラモノ(洋楽)などである。
ある行きつけのスナックに行くと、私が今まで歌ったレパートリーがノートに書いてあり「今度はこれを歌って下さい。」とリクエストされる。そういう時は決してその曲ではなく、違う曲を歌うことにしている(本当に捻くれ者だと自分でも思う)。だから又レパートリーが増える。
スナックの場合、何人かお客さんが居るので、その年代にも合わせるのがエチケットである。先日は一回り年の違う先輩がいたので、その方々の知っている曲がいいだろうと「上を向いて歩こう」を歌った。中々好評だった。その後はその人達の世代の歌、ディックミネ、石原裕次郎などが続き店が盛り上がった。
カラオケボックスが誕生したのは昭和60年(1985)というから、まだ37年位前である。それまでは、カラオケはスナックで歌うのが普通で、8トラのカセットテープだった。その後レーザーディスクになり、音も格段に向上した。その後有線を使ったものになった。最近の若者はそういう店にほとんど行かないので、そういう所で見かける客はほとんど中高年である。やはりそういう所が一番くつろげるらしい。
さて、カラオケボックスも様変わりしてきた。今までは5~6人でカラオケボックスに行き、交代で歌うのが当り前だった。他人が謳っている間に食べたり飲んだりするのである。そして終わると拍手というパターンだ。ところが今は色んなバージョンがある。
例えばお一人様用のカラオケボックス。カラオケを利用する人の2割は1人で利用するそうだ。その理由は人様々だ。上手くなりたい。忘年会で新しい歌を披露してビックリさせたい。1人で歌を楽しみたい。他人に邪魔されずのんびりした時間を過ごしたい。私も1人カラオケに行ってみたいと思う。しかしやはり仲間の拍手のないカラオケというのは何か淋しい気もする。
歌うのは夜だけというイメージが強いカラオケボックスだが、今はそうでもない。昼間でも学校帰りとか、休日もカラオケでという人も多いらしい。
カラオケというのは日本の独特の文化であろう。狭い室内に沢山の人が集まって歌う。世代を越え、カラオケ文化というのはこれからも続くに違いない。
私はカラオケに行く時間が取れないので、風呂の中で1人カラオケをする。先日も夜10時頃それをやった。次の日孫達が、怯えた様子で、「昨夜、オバケの声が聞こえた」という。よく聞いてみると、それは私の1人カラオケの声ということが分かり、ちょっと落ち込んだ。ということで、今日は外でカラオケを歌いたくなった。さあちょっと出掛けてくるか…。