「谷口さん、最近イサキが釣れるそうですよ。今度の日曜日一緒に行きませんか?」
というお誘いがあったので、二つ返事で行きましょうという事になった。
 日曜日、朝お産の入院がない事を確かめ、朝4時30分、車で出発。
港の近くの釣具店の前で待ち合わせだ。運悪くその日は雨。
風はないようだが、1日中雨の予報だ。
「今日は谷口さんベタナギですよ」と言われてもこの雨じゃなぁ~と思っていた。
 雨の為に黄色いレインコートを上下買い求めていたのでそれに着替え、足元は黄色い長靴。
それに氷の沢山入ったクーラーボックスを釣れるかどうかも分からないのに3個も船に積み込んだ。
釣れるのを祈りながら出航した。船と言っても全長5m位の漁船で、4~5人位しか乗れない。
海上を進んでいくが、横殴りの雨が体中に叩きつける。
近場と思ったが思ったより遠く、30分以上も海上を走った。
ようやく釣りポイントに着いた。陸は全く見えず、何か海の上に1人ぽつんといる様な気持になる。
まるで南洋の無人島に居るような感じである。しかし不思議な事にケイタイは通じる。
 とりあえず釣り糸を垂らすことにした。手グスに2本の釣り針が付いていて、それに小エビをつけるのだ。
つけ方のコツはお尻のシッポ側からその反りに合うように付ける。
その上に金網で出来た15㎝位の湯のみ位の大きさの物に小エビをぎっしり入れ投げる。
するとそのカゴに入っている小エビが海中に散らばり、それに魚が集まって来る。
その中の釣り針の餌に食らい付くのもいて、それを釣り上げるというやり方だ。
 海底までは約30mあるが、釣り糸は底から4~5m上の所で固定する。
4~5分待っても当たりが無い時は、一度電動式リールで巻き上げ、もう一度同じ事の繰り返しである。
 最初の一尾は10㎝位の赤い熱帯魚だった。小さかったのでリリースして海に返してあげた。
あまりその場所は釣れなかったので、10分位したら移動した。
しばらくするとイサキが釣れ始めた。長さは40㎝位、7~800gの大きさだ。
何せ私は年に3回位しか行かない素人なので要領がつかめない。
見かねて船頭さんが餌を付け、カゴに餌を入れ、魚が釣れたらタモで掬ってくれる。
まるで王様気分だ。するとどうだろう。他の3人の仲間が釣れなくて苦労する中、
私の方は入れぐい状態で、投げ入れると2~3分で当たりがありどんどん釣れる。
 1回だけもの凄い当たりがあり、何だろうと上げて見たら体長1m位のシイラだった。
船に上げたら大暴れして、船から飛び出しそうな勢いである。
帰って重さを測ったら、何と5㎏もあった。
ものすごい雨の中、約6時間居たので指の感覚がほとんどない。
しかも午後から風が強くなって来て、危険になってきたのでもう帰ろうという事になった。
帰りは三角波が立つ位のすごいウネリであったが、何とか陸に辿り着いた。
 家に帰りクーラーを開け数えてみると、25匹も釣れた。
イサキ22匹、メジナ1匹、熱帯魚1匹、シイラ1匹である。あまりの大漁に大満足であった。
ちなみにイサキは同じ位の型が近くのスーパーでは1匹1500円位する。
という事は3万円以上の魚を釣った事になる。
雨の中くじけそうになった6時間であったが、又行きたい。
ちなみに釣った魚の一部は給食に振る舞った。
刺身、フライ、焼き魚と3日間も続けて給食に出た。