私がパーソナリティを務めるMRTラジオの番組『みえことジローのあったかトーク』も始まって3年以上が経った。最初は『天使の誘惑』というタイトル番組だったのだが、2年前より今のタイトルになった。
放送時間は毎週日曜日の夕方4時から4時半までの30分。私の相手を務めていただくのは、アナウンサー歴20年以上ベテランの田中三枝子さんである。いろんなMRTの番組を持っているベテランで、実にチャーミングな女性である。始めた頃は要領がよく分からず、パニックになる事も多かった。何せぶっつけ本番なので、相手の田中さんと呼吸がうまく合わないのだ。しかし今は最強のタッグチームになっている。
番組のタイムスケジュールは次のようになっている。最初はオープニングコーナーが約5分。最近のいろんな話題で盛り上がる。その後に私の『Drジローのライフスケッチ』が約7~8分、その後1曲邦楽の曲が2~3分かかり、その後はお便りコーナーや私の本の朗読があり、その後洋楽の曲が1曲かかり『みえこの何でも言わせて』というコーナーへと続く。これは相手の田中さんが最近気付いた事をしゃべるコーナーで、その後エンディングの話が2~3分という構成になっている。
ラジオを聴いている人は私が自由にしゃべっていると思っているかもしれないが、放送の前にしゃべりたい事のシナリオを作る。しゃべる内容や話題を順番にメモしておくのだ。そしてそれに従ってしゃべる事にしている。そうする事によって、そのコーナーを時間通りに終わらせる事が出来るのである。その他のネタもいろいろ用意してあり、スタジオに入ってからその中の旬なものを選ぶ。
このようにいろんな苦労があるのである。放送の2~3日前にこの台本を作っておかなくてはならない。それはエッセイのネタを探し、それをまとめる作業によく似ている。
スタジオは10畳位の広さがありかなり広い。中に居る人は田中アナウンサーと私の2人だけであるが、窓ごしに村上さんという若い女性のディレクターがいろいろマイクの音量や指示を出してくれ、それに従って番組は進んでいく。最近は、テーブルの上にお茶の他にお茶菓子も置いてあり、それをつまむのも楽しみである。つまむといってもそれはCMの間だったり、曲の間だったりする。いつもはクッキーやチョコレートを食べるのであるが、先日は飴玉を口に入れたら硬くてなかなかその合間に溶けず、食べているのを途中で吐き出してしまった。やはり飴玉を口に入れながらしゃべるというのは、失礼になるからだ。そういう裏方役のディレクターの気遣いが番組の潤滑油になっているのである。
番組で1番大切な事、それは時間通りに終わる事。その為、大きな時計が目の前に置いてある。それを見ながらしゃべるのであるが、先日はそれを見間違えてしまい、田中アナウンサーが突然「じゃあ今日はここまで」と言われ「えっ!」と思ったら残り3秒しかなかった。てっきりまだ1分もあると勘違いしてしまったのである。
いろんな人から「ラジオ聴いてますよ」と言われると嬉しい。先日も初めて入った小料理屋さんで、会計をする際、そこの女将さんが「いつも聴いてますよ」と言われ「えっ、どうして分かるの?」と尋ねたら「その声に聞き慣れ親しんでますから・・・」と言う。料理の仕込をしながら聴いてくれているらしい。いろんな隠れファンがいるものだ。これからもいつまで続くか分からないが、相棒の田中三枝子アナウンサーに助けられながら『おもしろく、ためになる番組』作りを心掛けようと思う。