最近は「男子厨房に入らず」という時代から「男子厨房に入るべし」という時代になった。男の料理教室はどこでも盛況。婚活の中には料理婚活というのがあり、未婚の男女でペアになり、料理を作ることによって結婚相手を探そうという訳だ。芸能人やお笑い芸人、ミュージシャンなどもテレビの料理番組でプロ並みの腕を見せる。まさに男が料理をする時代が到来したのだ。
そこで文庫、新書サイズのお手軽レシピ本が去年ぐらいから次々と出版されている。それは『おつまみ系』と『ご飯系』に分かれていて、いずれも千円前後で販売されている。
そのブームを作ったのが、2007年9月に出版された『おつまみ横丁』と『365日たまごかけご飯の本』である。そこで早速それを買い求めた。
『おつまみ横丁』のコンセプトは外に行かなくても、自宅で簡単なつまみが作れるというものである。まず最初に『とりあえず』というコーナーがある。これは我々が飲みに行った時「とりあえずビール」と言うのと同じで、とりあえずつまみを作ろうというのである。そこにチーズを使ったものが二品あるので紹介しよう。
まずは『プロセスチーズの黒こしょうまぶし』である。
1 : プロセスチーズを一口大に切る。
2 : 挽きたての黒こしょうを、多めにまぶす。
3 : 器に盛る。つまみやすいように爪楊枝を刺す。
これだけなのですぐ出来る。
『クリームチーズのわさび醤油和え』は
1 : クリームチーズを、適当な大きさのサイコロ状に切る。
2 : 醤油とわさびを混ぜて、わさび醤油をつくる。
3 : 1を2にくぐらせ、器に盛っておろしわさびをのせる。
これも同じ様にすぐ出来る。この一品でも小皿に盛ると、ちょっとしたショットバーのつまみ風に見えるから不思議だ。
『365日たまごかけご飯の本』は毎日日替わりのたまごかけご飯を食べるのをコンセプトにしている。中は、きそたま、あさたま、ひるたま、ちょたま、よるたま、びよたま、じもたま、パワたま、しきたま、セレたま、ぶったまと11のジャンルに分かれている。まず1日目に出てくるのは、誰もが食べている『醤油たまごかけご飯』である。その醤油が梅、黒こしょう、七味、マヨネーズ、タルタル、アンチョビオイル、ピザソース、珍味、天然塩などに変わるのである。きそたまだけでも25種類が載っている。
前書きにはこう書いてある。『この本は、たまごとご飯と玉タレと、様々な食材のマッチングを試して「たまごかけごはん」のいろんな楽しさをお伝えしようとするものです。中には「うへぇー」とのけぞったりするものもあるかもしれません。でも試しに実際に作って食べてみて下さい。「!・!・!」「!・!・!・!・!」の連発になること、うけあいです。そうなんです。「たまごかけごはん」は、どんな素材と合わせても、基本的になんでもあり。エブリシングウェルカムの驚くべきフリーダムにあふれた世界だったのです。小さなお茶碗の中で繰り広げられる「たまごかけごはん」の自由な表現の世界を、自分自身で創り出して楽しんで下さい。たぶん世界最速の料理です。』
その他にも『口利酒師が作るおつまみ一行レシピ』『すぐ食べたい!1膳ごはん』『今夜も一杯、おつまみ手帖』『おうちで居酒屋つまみ』『安し!旨し!早し!10円おつまみ』などの本が続々と出版されている。
どんな人が買い求めるかというと、普段料理をしそうにもない男性の購入が目立つのが特徴だ。何故そういう人が買い求めるかというと、ワン、ツー、スリーとあっという間にシンプルに作れるという事だ。しかもそのレシピの横に出来上がりの写真が載っており「私でもこれくらいならできる」という気持ちにさせるのも人気の秘密だ。しかもポケットにちょっと忍ばせ、時間がある時は電車の中でも読めるというのもポイントである。
これだけの料理本が売れている背景には
1 : スーパーでパックに入れ売られているお惣菜に飽きてしまった。
2 : 冷蔵庫に材料があればいつでも作れる。
3 : 外食をするとお金がかかる。つまりなるべく外食費を減らしたい。
4 : ちょっとした料理でも出来るとカッコよく見える。
5 : 婚活もうまくいかないので将来「お一人様」になっても暮らしていける・・・。
などが考えられる。
いずれにせよ男が料理に興味を持つ事は良い事だ。
私も1年間料理教室に通ったが、男が料理で知らない事を学ぶというのがこんなに楽しいものかというのを学んだ。今からの時代、男は料理が出来て当たり前という時代になるかもしれない。